僕です!

ホントにあった話

日記

    今から12年位前でしょうか・・・

    当時僕は千葉市に住んでいました。

    僕の住むアパートの近くに(ファ〇リー〇ート)という

    コンビニがありました。

    当時僕は喫煙してたのでよくそのコンビニにタバコを

    買いに出かけてました。
    アパートの近くと言うのもあったんですが・・・
     ジツはそのコンビニのレジの女の子がこれまた

    めっちゃ可愛い人で

    身長150Cm位で色白・栗色のショートカット、

    ツンととんがったあごに優しさ溢れる黒く丸い瞳。

    ボーイッシュで有名人でたとえるなら広末涼子さんに

    似ててとても可愛らしい方で

    何時も一生懸命商品棚の商品を補充・整頓してて

    働き者の印象の方でした。

 
僕   (この人可愛いナ・・・)男なら当然の反応と弁解すべきか・・・。

    
    会計する際、僕は千円札を差し出した。

彼女 「270円のタバコ2つですから540円のお買い上げで

    360円のお返しになります。」

    そう言いながら彼女は左手でお釣を差し出したので、

    僕は右手を差し出す。
    彼女の左手でお釣を僕の右の手のひらに丁寧に置き、

    右手はお釣を落とさないように僕の右手の下に手を添える。

    その際少しだけ彼女の白い左手指先が僕の右手に触れた。


僕   (あ・・・・・・)少しドキッ!としつつチョット嬉しかった僕が居た・・。

    (オトコのホンネ) 

    当時コンビニのレジの女の子が男性客にお釣を渡す際、

    男性の手に触れないよう、悪い言い方をすれば

    汚い物に触れたくないようにお釣を渡し、渡された客は

    不快な思いをするのが当たり前の今日、

    凄く丁寧な接客対応だなぁ・・。

    そう思いながら僕は店を後にした。


    2001年10月24日僕は仕事場の事故に逢い2週間緊急入院後、

    退院し自宅療養になった。

    利き手でもある右手の頭骨神経・掣肘神経を切断し、

    親指・人差し指・肘の屈曲等の運動機能を失い
 
    右手を大きな三角巾に包み日々食事・洗濯生活の全てを

     片手だけで行わなくてはならなくなってしまった。

    退院して初めてあのコンビニに行ったらレジの

    「あの子」が居た。

    僕が入店すると「あの子」がチョット驚いた表情で僕を見る。

    会計以外話さなくても普段接してるお客さんが大怪我しての

    来店である。

    僕は顔面右側には大きな擦り傷痕が残って右手は

    三角巾である。驚くのは当然だ。

    その時は何も言わずただ会計だけ済ませた。

    嬉しかったのは入院前と変わらず丁寧な「会計」で

    傷ついた僕の心を少しだけ癒してくれた。


    ~~事故から1年以上経った2002年11月のある日。~~

    僕は何時もの様にコンビニに行きタバコを買った。

    やはり会計は「あの子」である。

    スタインウェイのピアノでショパンを奏でる様な滑らかな

    手つきでレジを打つ。

    僕は彼女のレジを打つ左手に目線が入った。

    彼女の左手人差し指が包帯でぐるぐる巻きになっていた。

 
あの子「270円のお買い上げで300円のお支払いですので

     30円のお返しになります。」そう言いながら

     左手で30円を差し出す。

    僕は慣れない手つきで左手を差し出しお釣を受け取る。

    彼女の左手に巻かれた包帯が僕の左手に重なった。

    僕は・・・つい・・・・。

僕  「ぁ・・・手・・・怪我されたんですか・・・?」

    (あ!僕・・・何話しかけてんだ!)

    つい聞いてしまった・・。


あの子 ちょっと戸惑いつつも・・
    「はい、そうなんですよ~、家の湯沸し機が壊れてヤカンで

    お湯沸かして食器洗おうとしたら火傷しちゃったんですよ~。」

    彼女は笑顔でそう言うとペロッと舌を出す。


あの子「私左手が利き手なんですよ。確かお客さんも右手が

    利き手ですよね、利き手が使えないって大変ですよね~。」

    何時も事務的な低い声しか聞いた事がなかったけど・・。

    この一瞬はちょっとかん高い一人の女の子の声に変わった。

    天真爛漫な性格なのだろうか、僕が見慣れた常連客なのか

    満面な笑みでそう答えてくれた。 


僕  「そ・・・そうなんですよね~!僕仕事でドジっちゃって事故に

    合ったんですよ。利き手使えないとほ・・本当困っちゃいます

    よネ~!」

   (イ・・イカン!僕はナニ言ってるんだよ!)そう言い・思いながら

    僕はおもむろに三角巾から右手をカウンターに置いた。
    
    


    その時・・・。

 


    僕の冷え切って硬直した右手を・・・・・彼女は白く暖かく柔らかい

    両手で僕の右手を優しく包み込み彼女の胸に引き込む・・。


あの子「ゎぁ・・・手・・・冷え切ってますね・・・。」


    時間で言えば10秒くらいだろうか・・・・。

    知覚がないのに・・・感じることがない僕の右手が彼女の

    柔らかく暖かい両手の暖かさを感じた・・・。


    それは彼女本来の心の暖かさなのだろうか・・・?

  

    僕は突然の出来事で頭の中が真っ白になっってしまった・・。

    ただ真っ白になった僕の頭の隅に・・・

    ホンネで言えばこの時が永遠に続いて欲しいと

    思った・・・。

    

あの子「私の母親が四街道のある病院の看護師長なんです。

     だからちっちゃい頃から患者さん見て大変だなぁ~と

     思ってたんです。そしたら自分が患者になっちゃいました。」

     クリッとした大きな瞳を細め微笑みながら僕に言う。


僕  「そうなんですか?お母さんが看護師ならた・・たよりに

    なりますよね。」

    (突然のこの状況にナゼか焦ってしまった僕・・。)


あの子「はい、そうなんですよ~、私も母の病院で見てもらったので

    たすかりました(笑)   手・・・冷え切ってますから・・・

    暖かくしてあげて下さいね。」そう言うと僕の右手を

    優しく三角巾に包み込んでくれた。


僕  「ありがとうございます(笑)火傷は傷跡残っちゃうかも

    知れないから気をつけられてくださいね、女の子だから・・。」

    そういうと「彼女」は、はにかみながら 


あの子「そうですよね~、気をつけます。」目を細めながら

    ぺロッと舌を出す。


僕   (この仕草・・癖なのかな?でも・・可愛い・・。) 


あの子「寒いですから風邪引かれないで下さいね、

     有難うございました。」       

    

     僕は店を後にした。

   


     僕はタバコだけを買ったんじゃない・・・・・

    


     彼女の「優しさ」を買ったんだ。

   


     彼女の「心の暖かさ」に触れさせてもらったんだ。   

    


     しばらく・・・右手洗わんどこ~~~!

     ε= \(^_^) ノ ヒャッホーウ!!!

     
        

    そうおもいつつスキップしながら僕はアパートに帰った。