フリージア

金狼の重圧…09

自作小説

 朝方の高速パーキングエリア、全く使われていない廃墟同然の根城。
 バタフライはそこで少し仮眠をとっていた。どこからか拾ってきた粗末なソファーに横になり、軽く寝るつもりだった。しかし連日の気疲れもしていたのだろう、ぐっすりと寝てしまい、かなりの時間が経っていた。

 「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 バタフライは何か得体の知れないモノに追いかけられる夢を見ていた。この頃、何日か置きに見るようになっていた。
 そして寝汗をぐっしょりとかいていた…
 ウルフとの対戦が近づいた予兆、そう考えることでこんな悪夢も気にならなかった。
 時計を見ると、夕方5時半。バタフライが寝入ってもう半日も過ぎている、彼はそれほど疲れていたのだった。

 そして、ちょうど同じころ…
 
 ある部屋、その中に二人の男がいた。1人はミカミである。
 探すか、それともウルフがやって来るか。どっちにしろ二人が対戦するのは時間の問題だ。他の3地区のトップがやられて、俺のところに来ないはずがない。
 「バタフライは、そう考えているだろうな・・・なぁ、ウルフ」
 ウルフらしき男はミカミの方を見ない。まるで無視でもしているように隣から聞こえる声に反応しなかった。少し悲しい目をしたミカミはいったんその部屋から出て携帯電話で仲間の男に呟くように告げる。
 「バタフライを連れてきてくれ」
 「良いんですか?」
 「もう限界だろう。バタフライも・・・そして、ウルフも」
 これで良かったのだろうか?ミカミは何度も何度も自問自答を繰り返し、これで良いのだと心の中で反芻した。
 バタフライとウルフを対戦させる、これで最後だ。これで納得させていた。
 そうウルフのために…

 ウルフは部屋から見える夕日の方角に目をやった。夕焼けが眩しく、街もなにもかもを染める。かつて、ウルフはこの時間帯が好きだった。
 自分のマシンの色であるゴールドが夕日に光り、栄えるから。ゴールド以上に輝くその色を感じながら走るのが好きだったのかもしれない。

 バタフライのマシンの色、ミッドパープルはその夕日が当たっても、綺麗に輝くことは無かった。その後に来る暗闇がバタフライの時間であった。

  • ヤマカズキ

    ヤマカズキ

    2012/11/16 21:00:42

    いよいよ、決戦の時が迫ってる感じですね。

    夕焼けのシーン、なんかいいな。
    いろいろと、想像しちゃいます。

  • パン

    パン

    2012/11/16 11:55:40

    ふぬぅ・・。

  • kanno

    kanno

    2012/11/15 22:26:53

    おおおおおおおおおおおおおお
    深いです!