Air

福助

耄碌人の世迷い言

あの日

日記

未体験の揺れと、現実のものと思えなかった大津波警報
降り出した雪と、遠くの製油所から黒い煙
電気は止まり、クルマは大渋滞
時折けいれんのようにうねる地面
その度人々は怯えて辺りを窺う

他の人同様、私は家を目指す
家のカタチはあるのだろうか
そんなことを考えながら
自分の足だけで家を目指す

自分のところに致命的なダメージがなければ
年老いた両親のところに行こう
燃料と少しばかりの食料を持って行こう
きっと妹の一家もやってくることだろう

明日、夜明けがくるのだろうか
元通りになるのにどのくらいかかるのだろうか
そんなことはわからないけれど
自分たちの手と足で未来を目指す

今はそれしか思い浮かばない

これが、あの日の自分