TAKEのつぶやき

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☆年周視差

その他

  半年を隔てて同じ恒星を撮影しその2枚の写真を重ねると、星の配列は完全に一致しているように見えます。これは当たり前だと言われそうですが、これを精密に調べてみると、肉眼では確認できないくらい僅かに恒星の位置がズレています。
  この年周視差を説明するのに、列車に乗って窓から外を眺めることが喩えられます。遠くに見える山や建物がゆっくり動くように見えるのに対し、線路の近くの樹や建物は飛び去るように速く動いて見えます。これは見る位置によって見える角度が異なることの現れです(この現象を視差と言います)。
  これと同じことを宇宙に当てはめて、遠くにある恒星と近くにある恒星を比較します。一方、地球は1年かけて太陽を公転しますが、公転の半径は1億5000万キロメートルあるので、地球の位置は半年を隔てて3億キロメートル離れることになります。つまり、間隔をあけて地球から恒星を観測することは、公転軌道上の違う位置から恒星を観測することになり、恒星の位置に視差が生じます。このように、地球の公転に伴って現れる視差を年周視差と言います。ただし、年周視差の大きさは地球からの距離に反比例して小さくなるので、先述したように肉眼ではほとんど確認できません。
  ちなみに、年周視差が測定できれば、地球からその天体までの距離を計ることができます。理屈からすると、地球からの距離が3.26光年にある時、年周視差はちょうど1″(3600分の1°)になります。また、天体の距離を表す単位であるパーセク(parsec)が3.26光年であるのはこのことに由来します。つまり、parsecとはpar sec(毎秒)から来ています。