そんな小５の夏休みの前の、エピソードは、遥か記憶のかなたに
追いやられていた。
私は地元の高校から、都内の大学にいき、今は地元のタウン誌や、
フリーペーパーを出している小さな会社の、嘱託デザイナーのような仕事を
している。
仲良しの、みどりちゃんも仙台の大学を出て、今は地元の銀行のＯＬだ。
同じ地元にいても、たまに携帯でメールして、お茶飲んだりするくらい・・
小学校からの親友といっても、２０歳過ぎると、そんなものかもしれない・・


そして、夏休みも近い、最近のことだ。
姉と小５のおいが、わたしのアパートに来て（今一人暮らしなのだ）
お茶を飲んで雑談している時に、
姉が「緑沼が危ないから、夏休みには気を付けろって、お知らせあったのよ」
と言い出した。
ロールケーキを頬張りつつ
「あん、あそこはアブネェ～な」とおいが言う・・

緑沼・・わたしの記憶にある、あの沼・・いやみたことのない
小学校の時、黒田君から教室でみどりちゃんと聞いただけの・・沼・・

姉から聞いてみたら、そうではなかった。
３年ほど前、大雨で川が氾濫寸前になり、流れが変わってできた、
沼というのだ。私が小５の時、聞いた場所より１キロ近く
上流の川原沿いにでき、近所に赤井幼稚園もあるので、
学校や町内会で注意をよびかけているとの話である。


そんな、沼ができたのか・・好奇心旺盛な私は２日後に、
行ってみることにした。
赤井幼稚園の裏だよね・・すぐわかった。
２０ｍ×１０ｍくらいの、小さな沼だった。
周りは除草されていて、明るい。でも緑色の藻が繁茂して、
まさに、緑沼だ。　深いところは１M以上ありそう。
確かに、幼い子が滑り落ちたらあぶない　沼だとおもった。
川の伏流水か、底から水が流れ、細い沢までできている・・

う～ん　そうなのねと思っただけだった私。

しかし、翌日から大騒ぎになり、自分も巻き込まれるとは
そのときは、予想すらできなかったのである。

（続く　第2回了）

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