新・緑沼を見に行った翌日になる。
午前１０時ころだったろうか、電話が鳴った。耳の弱い私は家電とはいえ、会話が苦手だ。
「お～い、小桃だろ～。　オレオレ、黄川田だよ～」

　なんとか相手の声が聴こえる。黄川田君？・・小中高と同じ学校だったけど、
同じクラスだったのは１回だけだ。同時の顔は知っている。ラグビー部にもいたはず。
でも親しくしたこともない。なんで、電話よこすの・・

「あのな、黒田、知ってるだろ。あいつ昨日から行方不明なんだよ～」

「はぁぁ・・あたし黒田君　いまなにしてるかも知んないよ」

「あっそうだよな。あのな、やつは今、県知事の秘書してんだ。だから警察が騒いでる」

「えっ、あたしとなんの関係あるの・・そりゃ元同級生だから、心配だけどね」

「なんだ、小桃ちゃんさ、翠（みどり）ちゃんと仲いいだろ・・みどりとさ、黒田付き合って
たの知ってんだろ」

「ええ、あたし　知んないよ」

「おい　マジかよ　それ」　「うん」

「でな、みどりも銀行出勤してないんだってよ・・」

「ホントなの　それ？」　「ホント、ホント」

「じゃ　警察から連絡あるかもだけど・・最近　みどりとは会ってんの？」

「今月会ってないけどぉ・・」

「そっかぁ、じぁ　またな　電話聴き取りにくいのにごめんな」


で、電話は切れた・・えっみどり（翠）ちゃん、どうしたの・・
仕事関係のＥメールを読みながら、内容が頭にはいらないのだった。


（続く　連載３回目　了）

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