不幸の形はいろいろあるけど、
幸福の形は、たいていワンパターン（のように思う）

「宝くじ、当たったら何をする？」の質問の答えも、
大方それに似て、ワンパターン（のように思う）

そこそこの家にローンなしで済んで、
旅行に行ったり、
おいしいものを食べる。
車、買う。

そうか、つまらんなあ。

不幸は千差万別。
（当人が、不幸と感じているかどうかは別だけど）

ある日、
ラッシュアワーがすんで、
人もまばらな電車に乗っていると・・・
突然、前の座席に座っていた女の人が号泣しだした。
付き添っているように見える女の人は、
号泣している人に寄り添うように座っていたが、
・・・困惑しているように見える。

「なんで、わたしばっかりがこんな目に合うのーっ」と
泣き叫んでおられたが、
横にいる女の人は、今一つアンバランスな表情を、している。

いったい何があったんだ。

そう思うばかりだが、
なんせ、電車で乗り合わせただけの人なので、
事情も何も分かるわけがない。
だけど、あんなに公衆の面前で泣けるものだろうか。
どれほどの悲しみがこの人を襲ったのか。
（それにしても、隣の人の困った顔は何でなんだ）

とうとう女の人は、終着駅まで泣き続けたが、
凍りついた電車の空気は、
未消化のまま、わたしをプラットホームに放り出した。

あれほどの悲しみはなんだったのだろう。
でも、
寄り添っていた人の表情は、
それほど同情的ではなかったしなあ。

謎だなあ。


不幸というのは、この広い世間で、
自分だけが理不尽な生き方を強いられているという感覚のようだが、
3組に1組が離婚する時代になった。
配偶者の浮気も、よくある話だ。
よくある話が、自分の番になっただけのことだと思えば、
わたしも、あのとき、そんなに悲しみはしなかったかもしれない。

10年たったから、言えることなんだろうか。