うみきょんの どこにもあってここにいない

うみきょん

日々のはざまについて、
地上でみた夢の記憶、
地中で見られた眠りのすきま、
絵画や小説、想像世界、花たちなどについて
静かに渡りを記述しています。

この世で一番簡単なホラー小説の書き方

小説/詩

昨日は友人の朗読ライブにいってきた。
恐怖を主題としたものだ。

対談のなかで、
「一番簡単なホラー小説の書き方は、立場を逆転して書くことだ」
とあったのが印象的だった。
具体的な例として
「少女が日傘をまわしている」
ではなく、
「日傘が少女をまわしている」

「少女が牛の乳を飲む」
ではなく、
「牛が少女の乳を飲む」
とする…。

「牛が少女の乳をしぼる」「牛が少女の乳をふくむ」
「牛が少女に草をたべさせる」

情景がうかびあがり、その先が奥深いもののようにみえる。

そして、これは詩の話ではなかったかとも思う。

帰り道、自転車をこぎながら
「自転車が女をこぐ」
と頭の中でつぶやいてみた。
「自転車が女に乗る」
ふしぎな生き物が暗闇にあらわれるようだった。