セカンド

ハル・・・吹雪のなかで

小説/詩

今日は天気が悪くなる
早く帰って来るんだぞ

そんなお父さんの声もうわの空
ハルは子犬を抱くと飛ぶように犬ゾリで町の外へと飛び出した

今日は可愛がっている犬たちと久しぶりのお出かけ
隣町のおじいさんのところへソリを走らせた

毎日一緒に寝ている子犬も
楽しそうにキャンキャン鳴いている

今日はおじいさんの誕生日だ
おばあさんが御馳走を作って待っているって

みんなの分も作ってあるから安心して
ハルは犬たちに話しかけました


それから数時間後犬ぞりに乗ったまま
ハルは途方に暮れていた

激しい吹雪の中ハルは道に迷ってしまったのだ
ソリをひく4匹の愛犬と足元には1匹の子犬がいた

前は吹雪で何も見えません
日が暮れてきたのか気温は急激に下がってきました

このままでは全滅だ
どうしよう

雪洞を掘り犬と抱き合いながら寒さに震えていた
寝てはいけない、寝たら死んでしまう

真っ暗な雪洞の中ハルは不思議な夢を見た
2匹の犬が暖かい食事とミルクを持ってくれたのだ

どこへ行ってしまったのだろう
目を覚ますと2匹の犬がいなくっていた

吹雪はそれでも止まなかった
それどころか激しさを増しているようだった

ハルは猛烈な睡魔に襲われた
寝てはいけない

しかしハルはまた夢をみた

再び二匹の犬が現れ
暖かい食事とミルクを持ってきてくれたのだ

どのくらい経ったのだろうか
目を覚ますと雪洞の中はハルと子犬だけがいた

ハルは3度目の睡魔に襲われた
夢を見た

子犬がハルの元へと食事を引きずってきたのだ
暖かいミルクもその後ろにある

ハルは立ち上がると
震える体で子犬の方へと歩み寄った

ダメだ僕に食事をくれたら
そう言うとハルはその暖かい食事とミルクを子犬に与えた


ハルー
ハルー

吹雪が止むとハルを探している
お父さんと村の人たちの姿があった

雪に深く埋もれてしまったソリのそばの雪洞に
ハルを見つけた

ハル、ハルお父さんは何度も呼びかけた
ハルが動くことは無かった

ハルー、ハルー
静寂な白銀の世界に悲しみの声が響き渡った


その時ハルに抱かれていた子犬がクーンと声をたてた
子犬は生きているぞ

その瞬間だった
猛烈な風雪が皆を襲った

思わず村人たちは顔をそむけ目を閉じた
その時ハルのお父さんは不思議な光景を見たという

4匹の犬がどこからか現れハルの元へと駆け寄り
ハルの体の中へと入って行ったのだ

風がやむと一人の村人が叫んだ
ハルが動いた、ハルは生きているぞ


担ぎ込まれた自宅のベットの中で
ハルは夢を見ていた

4匹の愛犬がどこからともなくやって来て
身体を温めてくれていた夢を・・・



ハルと子犬は助かりました
では4匹の犬は何処へ行ったのでしょう

実はこの後ハルのおじいさんの家に
保護されていたとのことです

夢の世界でハルに食事とミルクを持ってきてくれたのは
いったい誰だったのでしょうか

不思議な雪の降る村での出来事でした


なんてどうでしょうか

あっ
そろそろ遅い昼ごはんです!



  • セカンド

    セカンド

    2013/09/08 21:43:45

    いちい様

    悲しい結末も考えたのですが
    ハッピーエンド?に持っていきました

    人や動物がいなくなるのは
    寂しい気がして

    架空の世界でもね

    そう、これからいちいさんのブログに行ってきます

  • いちい

    いちい

    2013/09/08 19:04:17

    犬達が消えて行き、最後どうなるかと思いましたが、
    悲しい結末じゃなくてよかったです。
    短いストーリーの中にたくさんの愛と奇跡をみました。
    ステキなお話をありがとう。^^

  • セカンド

    セカンド

    2013/09/08 18:58:27

    なぎさ様

    ピンポーン
    ハルは春なんです

    厳しい冬の次にやって来るのは
    やさしい暖かい春

    そう
    きっといつかは良い事がある・・・

    でも努力を忘れないように!
    真っ直ぐに信じた道を進むのが良いかと

    なんか占いの言葉みたいですね^^

  • なぎさ

    なぎさ

    2013/09/08 13:27:51

    読み終わると同時に ぼろぼろと涙が零れて
    今もとまりません ありがとう
    セカンドさんの言葉の魔法にかかったみたい

    ハルは 私たちですね
    どんな困難の中でも決してあきらめないで生きていく
    夢と希望の象徴のハル(春) 沢山のつながりの中で
    沢山の思いやりと優しさに包まれながら生きていく

    さりげない毎日は 長く苦しい人生も
    そんな奇跡の積み重ねなのかもしれない
    つつがなく生かされていることにもっと感謝です

    やっぱり美しい心で生きていきたい
    心が洗われるような作品をありがとう
    泣いた後は笑顔 ありがとう 笑顔一杯おいていきます^^v