うみきょんの どこにもあってここにいない

うみきょん

日々のはざまについて、
地上でみた夢の記憶、
地中で見られた眠りのすきま、
絵画や小説、想像世界、花たちなどについて
静かに渡りを記述しています。

キンモクセイが

日記

道端に白い星がおちている…
つぶつぶと。
しろいキンモクセイだった。
自転車でそこをとおったら
地面におちているそれであったが
香りをはなった。
最後の香りだ。

桜の花びらなら、地面におちてなお
香ることはないのでは…と、思ったりした。

地面からわきたつ最後の香り。
それは、どこからともなく
姿をみせなくとも、
濃艶に、匂い立つ、あざやかな
キンモクセイの香りではなかったけれど、
たしかに、ひたむきなキンモクセイの
おわりをつげる
香りだった。