金狼の重圧 『エデン編』…12
『ほ~ら、簡単に会ってくれたじゃないか…ウルフの名を出せば…』
あの男は必ず何かを知っている、いや何かなんて抽象的な事じゃなくウルフの居場所を知っているはずだ。
そして、例の事故のことも…ウルフが暴走しだしたことを。
秘書は扉をノックし無表情で応接室の扉を開ける。
中を見ると奥にスーツを着たスラッとした男が立っていた、ミカミだ。相変わらずに鋭い目つき、何を考えているか分からない表情をしていた。雰囲気は4年前と何も変わっていない。そして、あの何かを見透かしているような声も。
やはり不気味な男だ、やはり会いたくなかった、ユウジはそう思った。
「さあ、どうぞ」
役目を終えた秘書は軽く一礼し、どこかへ行く。
中は豪華な造りだった。煌びやかな花瓶に生けてある綺麗な花々、どこかの有名な画家が描いたであろう絵画、ソファーも革張りでかなり高価そうだ。ビルの外観もそうだが内装も素晴らしい、さすがは超一流の企業といったところだろう。
ユウジはミカミに近づき睨む。心を強く持ち、睨んだ。
「久しぶりだな、俺のことを覚えているか?」
ミカミはユウジの睨みから目を一度そらし、また目を合わせた。
「久しぶりだね………もちろん覚えているよ、確かユウジくんだったかな?あの時は迷惑をかけたね。さあ、どうぞ」
そう言うと、ソファーへと誘う。
『…迷惑だと?』簡単な受け答えにユウジはそう声が出そうになり怒りが眉間に出る。
「ああ、久しぶりだな…」
こんな所、聞くことを聞いてさっさと帰ろう。さあ、ウルフのことを教えてくれ、ウルフはどこにいる?そして、あの事故はウルフが仕掛けたものなのか?さあ、さっさと教えてくれ。
「本題に…」
ユウジは世間話や昔話は無用とばかりに、ソファーに座ることなくそう言いかけた時だった。
ミカミはこう言った。
「で、ウルフはどこにいるんだ?」
表情は見たこともないほどの不安に満ちていた。あの不気味で威圧的な表情、雰囲気が180度の変化をした。
予想外の言葉にユウジは動揺し我を忘れてミカミに詰め寄った。
「どこにいるって?………俺はそれをあんたに聞きに来たんだよ!」
力が抜けたようにソファーへとへたり込むミカミ。
「………君は、この僕にウルフがどこにいるか聞きに来たってことか?」
「ああそうだ、あんた、知ってるんじゃないのか?」
S.N.exe
2013/12/15 10:29:25
おお!なんかかっくいい!!
続きが気になります^^
クルミ
2013/12/10 21:35:48
ウルフは単独行動なの?