大潮

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伏見稲荷 その5-京都スピリチュアルツアー

自作小説

頂上の御鉢回りの入り口にたどり着いた。
「どっちから回ろうか?」
「ここは左回りにしようか」
右の道には大きな石が門のように道の両脇に立っていた。
周りの観光客も右の道へ歩いていく
「どう?」と経丸に聞く。
「御鉢回りはどちらからでも同じところに戻ってくる。自分で選んだ方から回るのがいいよ。どっちから回るかで起きることが違ってくるから」
よし!実留と佳は歩き出した。

実留はからだが軽くなったように感じていた。
門のような石を通り過ぎると、目の前が開けた。
らせんのエネルギーが力強く渦巻いていた。
「これは、何?なんで石が渦巻き型に置いてあるの?」
見渡すかぎり、渦巻き模様をつくるように石がならんでいる。
小さな渦巻き、大きな渦巻き 大小はさまざまだがどの石も渦巻きをつくるように並んでいる。

渦巻きのエネルギーがひとつひとつの石の山から噴き出ていた。
「ああ、気持ちいい!」
体中の皮膚から渦巻きが噴出してくるのを感じる。
からだのなかを炭酸水がシュワ―と上がってくるような、そんな快さだ。

「これが、このお山のエネルギーなんだね!この石も経丸たちが作っているの?」
「この渦巻きの力を起こすために稲荷大社ができる前から石を置いてきたんだ。どこの土地でも石を置いただけでは力は上がってこない。この山だからこの渦巻きの力が湧いてくるんだ。」

「そんな昔から?」
佳は昔のものが大好きだ。
博物館員の資格をとるために今も仕事のかたわら、大学で勉強するほど大真面目に好きだ。
「渦巻きは太古から人間が大事にしてきたよね」
「渦巻き模様は古墳の壁にもいろいろ描かれているけど、実用されていたの?」実留が佳に聞いた。
「渦巻きで一番有名なのは縄文式土器だけど、縄で飾りがつけられているから縄文式土器という名前をついたのね。その縄目の模様から16以上の縄目が組まれていたことが解っているのよ。縄は『渦巻き型につくるひも』で一本のひもよりも数段強力なひもになるから、必需品だったでしょうね。」
「そんなに縄の編み方があるの?!らせんの組み方がそのくらいあるってことだね。それで、石も渦巻き状に組むとこのエネルギーを発生させるわけ?」
経丸がうなづく。
「石の渦巻き型にするのに幾通りも組み方があるよ。組み方で力が決まっている。」
良く見るとらせん状に平面に並べられている塊や、積み重ねられてらせんが複雑になっているものや、いろいろな組み方があった。
三人は渦巻き模様の中を足取り軽く進んだ。
ー続くー