大潮

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抜け弁天 その7 戸山公園 -東京SW

自作小説

箱根山の麓からあがってくる小道は緑の巨木を通った暖かげな陽の光がたっぷりと洩れて輝いていた。
麓からゆっくり歩いても2分ほどで山を取り囲んだ中腹の道まで辿り付ける。

急坂になった築山がしんどい登りだが、頂上を見上げると1~2分あれば登りきれるだろう。
頂上を丸く囲んだ円道を右に回りながら、5人は一巡りした。
大きな石が斜面にいくつかころがっていた。
「石垣でもあったのかな?」
「自然石のように見えるけど?組んであったのかな?」
「尾張徳川家の下屋敷時代に東海道の宿場町を再現したとここに書いてある。箱根に見立てた築山なら石を積んでもおかしくない」
「今でいうテーマパークだね」
「この地下に大きな地下道があることや、江戸時代にテーマパークを造った基礎が残っていることを考えると戸山ってすごい歴史土木遺跡だね」

箱根山の頂上へは4つの登る小道があった。小道は東西南北の十字になっていた。
「抜け弁天からまっすぐにきた道を折りたたんで、箱根山の南北に抜け弁天の南北の参道を重ねて、その上に北公園の東西の抜け道を重ねると、何か視えてくる?」
「その十字が回ったら、この箱根山と抜け弁天と北公園を頂点にして回したら渦になる」
「3つの場所を重ねた中心を空間座軸として回して江の島とつなげてみるとどうなるかな」
5人は頂上へ登ってみることにした。

頂上には方角板があった。