幸せか不幸せか

なつみかん。

私は誰かを羨んでばかりいる、それしか出来ない

自作小説:私が恋した「人」でした。...1

自作小説

「本日はジメジメした一日となるでしょう。」

TVに映るアナウンサーはそう告げて、次のニュースを読み上げる。

雨の日はあまり嫌いではない。
可愛い傘に身を包んで街中を歩くのはどちらかというと、好きだ。
カラフルな可愛い傘たちは、じめじめした私の気分を楽しく彩ってくれる。

TVからプツッと音が消えると、私、柚南木 羽弥は銀色のシンプルな箱型の傘入れから、お気に入りの明るい赤地に白い水玉模様が入った傘をとりだした。
キィ、とドアを開けると今日はあまりひどい雨ではなさそうだ。

猫のキーホルダーが付いた可愛らしい鍵をとりだして、ドアに鍵をかける。

家に背を向けて、お気に入りの傘に隠れて。私は乱反射した目の前の水たまりに一歩、その小さな足で踏み出した。

  • 紫織

    紫織

    2014/04/13 01:56:20

    相変わらずいい文かくね!!!最高だわ
    君の比喩表現好き