フリージア

金狼の重圧 『エデン編』…15

自作小説

男は自販機コーナーにある自動販売機の取り出し口から缶ジュースを取ると、とりあえずプルタブ開けずに駐車スペースに戻ろうとした。

ん?
誰かいる…僕のEMをまじまじ眺めている。
あれは誰だ?

かかった、やっと僕の声に、いや行動にかかってくれた。
これで進展する。
これで僕の思いが成就する。
嬉しさのあまり無意識に声が出る。
「…ありがたい」
そして、ニヤリと笑った。

かつてない高揚を感じている金色のEMの持ち主はゆっくりと辺りをきょろきょろしているユウジに近づいて行った。
ユウジはまだ気が付いていない。

気が付いていない、進展という停滞が近づいているということを。