動物の体は約６２％が水分で、体細胞の内と外に分布しています。水分は経口的に摂取される物質の中で最も重要なものになります。

1）水分の意義
水分は下記のような役割を担っています。

・栄養素の消化吸収
・物質の溶媒
・生体反応の場
・物質の輸送
・物質の分泌および排泄
・体温調節
・体内電解質の平衡維持

2）水分の摂取
水分摂取は食品中の水分や飲水からだけではなく、酸化水からも摂取されます。酸化水とは体内で栄養素が酸化することにより生じる水分であり、脂質１００ｇから１０７ｍｌ、糖質１００ｇから５６ｍｌ、タンパク質１００ｇから４１ｍｌが生成されます。

3）水分分布に影響する因子
体内の水分は絶えず交換されていますがほぼ平衡を保っています。これは主に体液中に溶解する溶質のために生じた浸透圧によるものです。

・無機電解質は体液の分布，保留に最も重要な影響を与えます。
・高分子化合物（主にタンパク質）は循環血液と組横間液相互の体液交換にあたり、総体的には影響を及ぼしません。
・低分子化合物は細胞膜を自由に通過し、水分の分布にはあまり重要ではありませんが、大量の場合は水分を保留し、総体的に影響を与えます。

4）ナトリウムイオンとカリウムイオン
ナトリウムイオンとカリウムイオンは浸透圧、体液調整の面で同様に働くのですが、細胞内，外液ではその量的関係が逆になります。つまり、細胞内液にはカリウムイオンが多く、細胞外液にはナトリウムイオンが多くあります。しかし、各々におけるナトリウムイオンとカリウムイオンの総和ははぼ等しいので浸透圧はほぼ等しくなります。

※浸透圧：全ての溶液は濃度を下げよう（希くなろう）とする力が働きます。この現象を浸透といい、その力を浸透圧といいます。