恋淡雪
クリスマス・イヴの夕方。
用もなしに寒空の下でコーヒーの缶を握っている。
校門に寄りかかって遅いな、と腕時計に目をやると時刻は午後18:10を回っていた。
ほとんど機能しなくなった手をこすり合わせて校舎に目をやる。
君だ。
首元の赤いマフラーがよく似合っていた。僕は君に声をかける。
「お、お疲れ!今日遅かったね、大丈夫?」
「うん、大丈夫!そういえば、なんでこんな遅い時間までいたの?」
「ああそうだ、これを渡そうと思ってて...。」
小さな宝石の入ったペンダント。
冬のバイト代を全部使って1時間かけて似合いそうなものを選んだけれど、正直センスには自信がない。
「え....嘘、めちゃくちゃ嬉しい...!!」
「本当?!よかったー!!いつも仲良くしてもらってるから、お礼のつもりなんだけどっ。」
ありがとう、とペンダントを大事そうにしまってから
こちらに可愛らしい笑みを向ける。
きっと僕の顔は真っ赤だ。全部冬の寒さのせいにしてしまおう。
「ほんっっとうにありがとうね!!大切にする!!じゃあ、時間も遅いしまた明日...」
「ま、待って!!」
君の腕を掴んだ。
あたりは暗闇に沈んでいて幸い僕の顔は見えていない...と思う。
びっくりした君はこちらを見る。
「あ、あの、実は僕、」
しん、と静まり返った冬の空気に声がよく響いた。
ふと顔を上げるとうっすらと君の顔が紅に染まっていた気がした。
はっとすると君はいつもの顔で「どうしたの?」と訪ねてきた。
さっきまで握っていた手首を放すと「ううん、何でもない。」と軽く微笑んだ。
じゃあね、と手を振ると急に力が抜けてきた。
あの時見たものはなんだったのだろう。幻覚か何かだろうか。
あの顔が幻覚じゃなかったとしても、僕はもう。
突き刺すような冬の寒さは、頬に伝った小さな滴が消してくれた。
きっと僕はずっと友達のまま。
僕の住む街に、白い結晶が落ちてきた。
白鷺
2014/06/15 02:32:53
綺麗な小説ですね。はい。
なんか嬉しいコメントくれたけど私のあれはちょっと…ゴミクソだったよ…
なつみかん。
2014/06/14 23:08:48
なぜか小説を書きまくってるリア友達に負けじと頑張って書いた結果がこれだよ!
もうすぐ夏ですね。冬の小説とか遅すぎィ!
ぜひぜひ読んでくださいな~