ある男が産業スパイの求人広告を見て、入社試験を受けに来た。

会議室に集められた受験者達には厳重に封をされた封筒が渡され、指示があった。

「皆さん、この封筒を持って地下一階の会議室に届けてください。早く付いた人から採用します」

受験者達は我先にと走り出したが男は椅子につまずいて転んでしまった。

「あーあ、この分じゃ合格は見込めないな・・・」

ひとり階段を下りながらそうつぶやいて、なんとなく封筒を開けてみると、中に一枚の紙が入っていた。

『おめでとうございます。あなたは合格です。人事課採用係まで来てください』