☆脂質 その2
5)脂肪の働き
食物中の脂肪はグリセロールと脂肪酸にまで分解された後、小腸で吸収されます。その後再び脂肪に合成され、リンパ管に入ります。
脂肪酸の中には必須脂肪酸と呼ばれるものがあります。これは生体内で合成できない脂肪酸のことであり、専ら食餌から吸収しなければいけません。この必須脂肪酸に属するものはリノール酸、α―リノレイン酸、アラキドン酸があります。また、これらは全て多価不飽和脂肪酸になります。
また、生理的な作用をあげると以下のようになります。
Aエネルギーの貯蔵庫としての働き
単位重量あたりのエネルギー量は栄養素の中で最も多いので、エネルギーをコンパクトに貯蔵できます。
B脂溶性ビタミンの吸収・運搬など
脂溶性のビタミン(A,D,E,K)は脂肪に溶解するので、それらの吸収,運搬などに役立ちます。
C細胞膜を形成する
脂肪は細胞膜の主成分になり、リン脂質として細胞膜の活性に関与します。
D神経に関与する
ミエリン鞘を形成して、神経の絶縁体になります。
E生体の保護
体温を保持したり、臓器などを外力から保護したりします。
6)コレステロールの働き
ステロイドであるコレステロールは脂肪とよく似た働きをします。その生理的な作用をあげると以下のようになります。
A細胞膜を形成する
脂肪は細胞膜の成分になり、細胞膜の活性に閑与します。
B神経に関与する
神経の絶縁体になります。
C胆汁酸になる
胆汁酸は脂肪の消化に役立ちます。
Dホルモンになる
コレステロールから副腎皮質ホルモンや性ホルモンが合成されます。
E生体の保護
皮膚を乾燥から防ぎ、滑らかさを保ちます。
7)脂肪の注意点
A下痢
脂肪を摂取し過ぎると、その消化不良から下痢を起こすことがあります。
また、食餌中の脂肪が多いと消化管の通過時間が長くなります。
B黄色脂肪症
不飽和脂肪酸を長期に過剰摂取していると黄色脂肪症にかかることがあります。また、ビタミンEやセレンの摂取量が少ない場合も同様のことが起こりやすくなります。
C肥満
脂肪は単位重量あたりのエネルギー量が栄養素の中で最も多いので、滑費しきれずに蓄えられる機会が多くなり、肥満の原因になりやすくなります。
D必須胎肪酸のバランス
必須脂肪酸のバランスが悪いとアレルギー反応を起こしやすくなります。
※多価不飽和脂肪酸はω―6油とω―3油に分けられます。リノール酸、アラキドン酸はω―6油、α―リノレイン酸はω―3油になります。また、よく話題になるDHAやEPAはα―リノレイン酸から作られ、ω―3油に属します。これらは代謝されてロイコトルエンになり免疫に関与するようになりますが、ω―6油に由来するものとω―3油に由来するものとでは、その分解される時間が異なります。つまりω―6油に由来するものは分解されるのに時間がかかり、炎症などの免疫反応が長引くことになります。このことはアレルギーなどにも深い関わりがあります。といってもω―6油もω―3油も生体にとってなくてはならないものです。要は両者のバランスで、摂取比率が重要になります。
メグ
2014/07/03 17:37:55
脂肪肝になると薬品もききにくいのですかね?
太っているので心配です。
じゅあら
2014/07/03 07:50:36
勉強になります!(◎_◎;)