大潮

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花子とアン そして私の中の白蓮

日記

NHKの朝ドラ「花子とアン」を見ている
日本が家父長制の時代のドラマだ
女性は家族(かぞく)ではなく家属(いえぞく)だった
家父長制時代、婚姻関係は家長の家属になるということだ
女性は「家長」の性財産だった
家長が夫であるとは限らないことがよくわかる

父・兄・弟・夫の間でやりとりされる女性の運命の過酷さ
白蓮の場合、家長である夫に訴えられれば、不倫相手とともに犯罪者になる
あの時代の小説家が市ヶ谷監獄に収監された文を読むと
心や感情や性が縛られていた時代の怖さを感じる
白蓮は、夫から離縁状をとりつけたものの
家長である兄から子どもをとりあげられ幽閉される
母子ふたりが軟禁生活を強要されることに加担した時代の人々が
まだ生き続けてわたしたちの身の回りに生活している

そういう時代に生きた白蓮が
離縁状を新聞に発表した
その心意気の凄さに見上げたもんだと思っていた
「花子とアン」が放映され
さまざまな立場だった人の回想手記が発表され
わたしが思っていたよりもさらに過酷な人生を白蓮は生きたんだなと
改めて感じる

大潮の父方の祖母は、
気を許せる近所の家では楽しく話をするというのに
家族に対してひとことも言葉を発しない人だった
15歳のとき、初めて祖母の家に遊びに行った大潮に
ひとこと口をきいたというだけで
いとこたちがショックを受けるほど驚いたことに
大潮は驚いた
祖母は「家付き娘」だった
家長が気に入る婿養子縁組の相手が見つかるまで
何度も足入れ婚の強要が繰り返され、
そのたびに子どもを産んだ
自分のからだも
自分の産んだ子どもも
家長によって左右された人生
祖母の廻りの人が祖母の人柄を
「自分の子どもが死んでも涙も言葉も発しない人」と評した
自分の心が潰されていった「家」のなかで
祖母は涙も言葉も家族に対して発しなくなった

女性が人間にして人間に非ずと扱われていた時代からまだ70年たっていない
「花子とアン」を見ていると
スカートは女がはくものと言われていることも
結婚して名前が変わることが幸せと刷り込まれたことも
疎ましい