夏の詩(≧ω≦)ノノ
夏の詩
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夏告げる歌が聞こえると、地上には夏が訪れる。
その詩は天涯よりもたらされるのだと、知る者はいないけれど。
◆ ◇ ◆
「来佳」
吐息のような呼び声に、来佳が霞水を振り返る。
「少々手伝いをお願いできませんか」
戸口に立っていた霞水は、それだけ言うと外へと出た。
空には、相も変わらず淡い色が広がっている。
天涯に四季はない。天涯だけではなく天上には移り変わる四季の存在する場所はわずかだった。春夏秋冬、それぞれが変わることなく続くのが普通。この天涯は、どの季節をも持ち得ない場所であったが。
「何を手伝えばいい」
「火をおこしてもらいたいのです。泉の上に」
後からやってきた来佳に用件を告げると、来佳はふっと表情を引き締めた。
「詠うのか」
「地上に届くまでには時間がかかりますから。ちょうどいい頃ですし」
それぞれの季節の詩を詠うことによって、季節の変わりを告げるのが天涯に住む者の役目。
火は、夏の象徴だった。
来佳はその手に火を呼び出すと、霞水の望み通り泉の中心にその火を移した。
「見ていても構わないか」
「決して…声をかけないで下さいね。わかっているでしょうけれど」
「ああ」
霞水は泉のほとりに座ると、白い足を水へと入れた。
水面が揺れ、それに合わせて炎もゆらゆらと揺らめく。
あたりの空気が張り詰める。
ゆっくりと霞水は目を閉じた。
火より発す夏来たりて
これより炎神の加護に入る
はっきりと来佳の耳に届いたのはそれだけの言葉だった。
だがそれは始まりでしかなく、霞水は声なき声で詠い続けている。
空気が浄化されるような、ある種の神聖さがそこには存在していた。
来佳は呼吸すら忘れそうなほどに惹きつけられていく。
気付けば泉の上の炎はするすると泉へと吸い込まれていた。
「ぁ…」
不意に霞水の口から音がこぼれた。
炎は完全に吸い込まれる形で消え去っている。
そして、空気が戻ってくるような、そんな印象と共に霞水はゆっくりと目を開いた。
「…終わりましたよ、来佳」
小首をかしげて言う霞水に、来佳はようやく自覚しない緊張を解いた。
「前も思ったが、言葉を忘れそうになるな」
「私には良くわかりませんが…貴方がそう言うなら、そうなのでしょうね」
足で水面を波立たせながら、霞水はそこから動く気配もない。
吸い込まれていった炎を気にかけているのだということが、言葉にせずとも伝わってくる。
ふと思い出して、来佳が口を開いた。
「炎の種は、まだ残ってるのか」
「後ひとつだけ。創ってもらえますか」
夏を告げるためには、火は必要不可欠なのだった。けれど霞水は、天仙であるために、水と風の力しか使役することが出来ない。来佳がこの天涯に出入りすることが出来るのは、天仙に足りない火と地の力を補うためでもある。
炎の種。それは、地仙がその火の力を遠く離れた場所へと送るための道具。
「なくなりそうになったら早めに言うもんじゃないのか」
「もう少しあるのだと思っていたものですから。来てもらえて良かった」
おっとりと言う霞水は、それほど困る風情もない。
そこが、霞水の霞水たる所以であるのだろう。
来佳は困ったように笑うと、手を差し伸べる。その手を取って、霞水はようやく泉から離れた。
夏の詩は詠い終えられ、天涯からの詩は夏の終わりまで詠われることはない。
地上に詩が届くのはまだ少し先の事だったが、天涯の夏はもう終わりを告げる。季節なき天涯の一瞬の夏。
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テキトーに書きました^^b
どうでした?(コメ書いてください!)
たまに教えてもらいました(´・ω・`)
実紅菜
2009/09/06 21:13:05
なんか、かっこいい!^^
夏をテーマにこんなに書けるなんて♪
すごい才能があるんじゃないかな!!!
☠黒薔薇☠
2009/08/31 10:05:57
あの。。。今持ってるので一番かゎぃぃ服を着てくれませんか?
いきなりすいません・・・