幸せか不幸せか

なつみかん。

私は誰かを羨んでばかりいる、それしか出来ない

お久しぶりでござんす小説書いたよ

自作小説

今日の夕陽は、とても鮮やかな朱色だった。
何故夕陽は赤いのかなんて頭に浮かんだりもしたが、結局は綺麗だなぁという小学生のような感想が出たところで思考は回転を止めた。

隣の彼はやたらゴツゴツとした大きいカメラを目に当てて、赤く染まった空、地面、ビル、花....。
目に付く物をフィルムに焼き付けていく君は、隣にいる私のことなど見向きもしていないのだろう。

「夕陽、綺麗だね」

なんて声をかけてみたら「ああ」とだけ短い返事が返ってきて、また彼のカメラのシャッターが沈んだ。
会話を続ける気がないのか単に写真を撮るのに集中しているだけなのか、どちらかはわからないがかけた話しを交わされたような感じがして、少しだけ腹ただしかった。

「...少しくらい会話を続ける気になってくれてもいいじゃない。」

今度は「うん」と返事がした後に待ってと引き止められて、彼の指差す方を見た。

「....コスモス?」

夏の間にいっぱい伸びた背の高い雑草の中に、ピンク色の可愛い花が咲いていた。茎が折れ曲がっていたのが少し残念だったが、懸命に空を仰いでいるその綺麗な花の姿を、彼はまたカメラの画面に収めた。

ごめんねと花に向かって謝ると花を手折り、私の目の前に持ってきた。

「この花は君に似合うね。うーんと花言葉何だっけ.....うんでも、確か君にぴったりの意味だったよ。」

「そこまで言われたら気になっちゃうよ、思い出して!」

彼は首を45度に傾けて唸ると、「忘れたよ」と言い放った。
相変わらず適当な態度の彼らしい言葉には気が抜けてしまう。

地面には私と花と彼の影がずっと後ろに伸びていた。

日はいつもより短くて、長く伸びた影を見つめながら私はああ秋だなぁとまた小学生のような感想を頭に思い浮かべていた。



コスモスの時期ですね、ピンクのコスモスの花言葉は純潔ですってよ。私と真逆の言葉じゃないですかぁー!