おうむたんの毒舌日記とぼうぼうのぼやき

ぼうぼう

しばらく、おうむたんが 毒舌はく日記になります(^^;。飼い主に責任はとれませぬこと、ご了承ください

11月自作/ホットドリンク「温感超能力者」

自作小説

 私の前にはココアの入ったカップが置かれていた。カップに付いてる温度計は六十度。飲む前から、生ぬるいそれが美味しいわけがないのは判っていた。しかし、目の前の飲料メーカーの担当者は祈るような気持ちでそのココアを私に差し出した。私は一口それを飲むと、すぐに伝え始めた。
「六十度では、温度がぬるすぎて、ココアのざらつきが舌に残ります。もっと温度を上げると味わいが違ってくるはずです」
担当者は瞬時にココアの温度を上げることで増加するコストと、消費者に対する商品リスクに考えが及んだようで、うーんとうなった。
「人気のメーカーのココアとの違いは温度です、それが味に影響を与えているんですよ。美味しさを追求する製品を作りたいなら温度を上げなくてなりません」
「しかし、やけどのリスクが生じますよね」
「はい、でも美味しさの観点からいえば、ぬるいからまづいんです」

 私が温度を感じ取ることが出来る特殊能力の持ち主であることが知られるようになったのは、ネット配信の番組に自分のことを投稿してからだ。私の温感という特殊能力は最初インチキと疑われ、その後科学的見地から考察番組が何度も配信された。
 人が普通持ってない能力を持ってる私は「超能力者」とよばれるに至った。

 生まれた時から当たり前だと思っていた感覚を他人が持ってないことだと気づいてからは、「おかしな人間」といわれるのを恐れて、できるだけ気づかれないように生きてきた。それを公にしようと思ったのは、職場の室温があまりに高すぎてつらかったからだ。
 他人にとっては室温が高かろうと低かろうと、感覚としてはわからない。だから温度計で数値化してそれを判断するわけだが、一度や二度の変化はまったく気づかないのだ。無論、感覚はなくても体調に変化は起きるので、温度計を監視して夏場の暑さや冬場の寒さを調整はしているわけで、温度監視計はどこにでもごく一般的に設置してある機械であった。とはいえ、温感を持つ私には温度監視計の指示するタイミングがあまりにも大雑把で、つらすぎたのだ。

 それを言ったところで、私の温感を信じるほど職場がお人よしでもなかったから、私は職場をやめて「温感を持つ人間」であることを公表し、この能力で生計をたてることにしたのだ。
 好奇と猜疑の視線が落ち着いた頃、私は温感についての本を出版した。反響は私の予想以上で、本はヒットし、その後驚くほどたくさんのメーカーや医療機関や研究施設から様々な話が舞い込んできた。

 その中の一つの飲料メーカーから呼ばれて、私はココアについての感想を述べたーというわけだ。温感がなくても味覚はどの人にもある感覚で、味覚に温度が影響するという、私にとってはごく当たり前の感覚が、こうして仕事になってしまうのだ。
 帰宅すると私はやかんのお湯をしゅんしゅんになるまで沸かして、温度計付きのマグカップに入れたココアにお湯をそそいだ。白く湯気をたてたココアの入ったマグカップの温度計は九十度を示し、「やけど注意」の赤いランプが点滅している。私以外の人はこの温度のマグカップを熱いとも思わないし、こんな温度のココアでも平気で飲めてしまうのだ、そして当然だがやけどしてしまう。
私は熱いマグカップを慎重に持つと熱々のココアを少しづつ飲みすすめる。からだが温まる感覚が広がった。この幸せな感覚を誰とも共有できないのが寂しいと小さくため息をつくと口からふわっと白い息が一瞬広がった。

(おわり)


#日記広場:自作小説

  • スイーツマン

    スイーツマン

    2015/02/01 12:47:23

    【自作小説倶楽部11月期集計】
    ぼうぼうさんの23アクセス/目標値40アクセス

     私が外部で更新・巡回をさぼりまくっていましたので
     出来は問題がないと思います

  • ぼうぼう

    ぼうぼう

    2014/12/01 09:39:01

    >むぅさん
    ミステリー系、確かに面白そうですね。
    書く力量は全くないんですが(大汗)

    いろんな体験をさせるシリーズーこれなら短編で書きやすい
    かもですね。
    こういう発想がやっぱり、すごいです。

    絶対温感とか、同じ超能力仲間とか、短編でシリーズ化とか
    どれも、自分では思いつかなかったヒントをいただいた気が
    します。

    ほんとに感想ありがとうございます

  • むぅ

    むぅ

    2014/11/30 16:52:56

    温感超能力 というお話しから
    ミステリアスなものをイメージしました。
    作者さんの領域に踏み込むつもりの意見では無いのでごめんなさいの前置きをしますm(__)m

    この温感超能力を持つ主人公を様々な体験をさせて見てはどうでしょう?
    シリーズものとしてお求めしたい心であります♬

  • ぼうぼう

    ぼうぼう

    2014/11/29 08:14:18

    >紫草さん
    確かに!家族で好みの温度違って、けっこう喧嘩の原因になったり
    しますよね。この世界には、温度をめぐる喧嘩ないんですね。
    で、温感もった「私」も自分が感じる心地良い感覚の範囲が自分独自
    のものだという発想はないんでしょうね~。

    読んでくださって感謝です。これは、ほんと書き直しできたらいいなぁ
    って思います^^。
    皆さんのお話伺いながら、お話組み立てようとしてみたけれど
    設定以上に読み手さんをひきつける展開を思いつかなくて
    難しいですorz

  • 紫草

    紫草

    2014/11/27 16:37:38

    すっごく面白い観点からの超能力でした。
    これって意外と、寒がりとか暑がりって言葉で今でも使えそうな気がする。
    自分にとっての熱いお風呂が、家人には温いお風呂だったりすると、家人が入った直後には入浴できないんですよ〜
    飲み物も同じで、極度の猫舌の私は、人生損してるなと言われ続けながら、緑茶を飲み、もちろんココアも飲みます。自分にとっての適温で。
    そう思うと、温感ってすごいですね〜

  • ぼうぼう

    ぼうぼう

    2014/11/26 14:15:44

    >BENクーさん
    SFっぽい設定のお話、好きなんですが、未知の能力ってイメージ
    できなくて、思わず思いついたのが、引き算の世界。
    現実世界の自分の感覚が超能力だったらと考えると、それなら自分にも
    書けるかなと思って、書いてみたってかんじです。

    皆さんのご指摘でお話を動かすヒントいただいたので、もう一度、この設定で
    書けたらいいなぁと思います^^

  • BENクー

    BENクー

    2014/11/23 19:15:56

    絶対音感ではなく、絶対温感と言うのに始めは食いついてしまいました。笑
    でも、この視点は新しいものとしてかなり面白いと思いますし、下記の方たちがもっと話を広げても良いのではと言うのにも共感しました。
    続編求ム・・・笑

  • ぼうぼう

    ぼうぼう

    2014/11/10 13:10:37

    >かいじんさん、Sianさん
    絶対温感までいくと更に超能力者としてさえてきそうですね^^
    (そこまで考えてなかったw)
    設定しかないw話(話という体裁になってない)なので、同じ感覚持つ人が出てくると
    確かに話が動きそうですね、さらっと思いつくのがすごいです
    (←思いつかなかったので、こんな状態でアップしたので
    皆さんの力量にいつも脱帽しています)
    まだお題報告していないのに、読んでいただき、感謝です

  • Sian

    Sian

    2014/11/09 22:53:05

    何かが欠けているIFの世界。
    そこに存在する、私たちと同じ感覚の人。
    パラレルパラレル♪ 不思議設定の妙ですね。
    私も続きがよみたいです^^
    「同じ感覚を持つ人をもとめて……」みたいなラブストーリーとかとか・ω・

  • かいじん

    かいじん

    2014/11/09 22:40:17

    絶対温感・・・ぼくも今すぐは思い付か無かったけど世界が広げられそうです^^

  • ぼうぼう

    ぼうぼう

    2014/11/08 21:12:22

    >トシraudさん
    いつもありがとうございます^^。
    ご指摘通りです、起承転結になってないんですよねorz。
    設定だけの文章ですよね。
    「転」の山場のないまま、文章にしてしまったのは事実です^^;;;

    おうむたん
    ビヨ!

  • トシraud

    トシraud

    2014/11/08 16:50:17

    もっと続きが欲しいなぁ。あたらしい作風ですね!ビヨ!