さんた

1がつ25にち

日記

遠藤周作から、抜粋します


神さまは宇宙にひとりでいられるのがとても淋しくなられたので
人間を創ろうとお考えになりました。

そこでパン粉を自分のお姿にかたどってこねられ竈でやかれました。

あまり待ちどおしいので、五分もたたぬうちに竈をおあけになりました。

もちろんできあがったのは、まだ生やけの真白な人間です。

「仕方がない。わしはこれを白人とよぶことにしよう」

と神さまはつぶやかれました。

こんどは失敗にこりて、うんと時間をかけることになさいました。

すこしウトウトされているうちに、こげくさい臭いがします。

あわてて蓋をおあけになると、真黒にやけすぎた人間ができているではありませんか。

「しまった。でも、これは黒人とすることにしよう」

最後に神さまはいい加減なところで竈をひらかれました。

黄いろくやけた人間が作られていました。

「なにごとも中庸がよろしい」

神さまはうなずかれました。

「これを黄色人とよぼう」