そらは受験生

そら

最初の受験生です。社会科が好きになりました‼︎

電子少女RPG~0~中篇~

自作小説

前回の続きです!コメント、いいねありがとうございます!
小学校まで、成績優秀、優しかったイオ。しかしだんだん、自分が何でこんなに秀才で、周りから浮いていることに疑問を感じ、自信をなくしていきます。そんなイオを支える桜夏(ちか)の優しさにはタグがほしい欲しい欲しい))
前回作→http://www.nicotto.jp/blog/detail?user_id=1315245&aid=58490901

コメントアドバイスいいね、タグ付け嬉しいですmm
では本編どーぞ




「君は~君で~いて欲しい」
歌を歌う、親御さんたちのなかには泣き出す人もいた。
今は卒業式。
灰色のスーツに青のネクタイ、黒い縁取りのジャケットを着ている、イオ。
その斜め下、3つ横に、桜夏がいる。黒いジャケットにカジュアルな淡い桃色のチェック柄スカート、同色同じ柄のリボン。
泣き顔も見せずにいる。女子にしてはとっても強い子だ、精神的に。
歌を歌うと、5年生はやる気のない拍手をし、親御さんの中には子供の名前を呼びながら号泣している父、母がいた。
ばか、、とイオは思った。
これからも同居するんだし、なんでこんな風に泣くのだろう。
人の泣き顔は大嫌いだった。いらいらする。自分が悲しいわけではないのに、なぜかこの世の全ての悪いことが自分のせいのように感じてしまうからだ。決してそんなことはないと分かりながらも。

気がついたら、歌う口もしっかりとつぐんで前を見ていた。
親も親族もここにはいない。
妹も「お兄ちゃん頭良いんだからひとりで大丈夫でしょ?」とけらけら笑いながら、ショッピングモールに行った。
別に家族をいとおしいとは思わなかった。
かえって敵のように、忌み嫌い、憎んでいた。もうどうだってよかったのかもしれない。


「みんなで行った 修学旅行」
「日光のお寺は 大きくてびっくりした」
そんな幼稚(?)な内容のコールを聞きながら、もうちょっとで僕の番、と決められたせりふを何度も何度も心の中で練習する。

その日は受験の結果発表のために、少し学校に遅れてきた。
学級活動の時間は、1時間目だ。そのときに卒業式のコールのパートが全て決まったらしい。
イオが着いたころには、一時間目終了の号令がちょうどかかったときだった。
「イオー!」
「卒業式のせりふ決まったよー!」
なぜかニヤニヤと笑みを浮かべながら見ているクラスメイトがいた。
そして、席に座りながら、イオのほうを伺うように、苦笑いを浮かべている生徒がいた。
桜夏。

突きつけられた台本。
最後から3番目のせりふ。



今まで、ずっと一緒に笑った、仲間との別れ



背筋に寒気が走った。周りの目線が気になって仕方がない。どうしよう。
一気に顔が紅潮した。周りの目線が気になって仕方がない。どうしよう。


仲間なんていなかったし、友達も最後のほうは、いたことにはいた。
いたことにはいたのだ。

が、みんな冷たい目で笑っているような気がしてならなかった。
テストのときくらいに利用してくる、友達。
そんなもの友達じゃないと思った。だから一気に寒気が走った。紅潮した顔。心拍数の向上。



きっとこのせりふは誰かが仕組んだんだ。いったい誰なんだよ、という怒りがイオの中にあった。
僕のこと何か分かるの?分かってたの?分かってなかったくせに、…
今まで泣いたことなんてなかった。でも泣きそうだ。でも泣かない。僕は泣けない。
だから本当に


「ごめんなさい」


はっとして振り向くと、
桜夏がいた。


「このせりふ、私が、イオを推薦したんだ」
「は…!?」
「…友達がいなくて寂しかったんだよね?そんなこと分かってなかった、なんていえない。知ってたもの」
「…。」
「でも、イオにはこのせりふを言ってほしかった。だって」
「ふざけるんじゃないよ!」


気がついたときには大声を出していた。
しまった。
周りの視線が一気にイオに集まるのが分かった。しかし嫉妬や軽蔑の目ではなく、ただ驚きの目だった。
今まで何も言わなかったイオが、とうとう初めて反論したのだ。


「友達なんていない!だから友達になんて助けてもらってない!別れとかもない!だから、もう、いいよ!」

「じゃあさ」

すっと差し出された手。




「私が友達になるからさ」


「え…」



みんながこそこそと何か言っている。うわさだろうか陰口だろうか。そんなものはどうでもいい。いまは目の前の現状を理解しなくてはならない。
どういうこと、どういうこと、どういうこと


「……もういいよ」
「?」
「もう誰も友達になったりしなくていいから、さ」
不器用な笑顔。
その台本を受け取って、僕は席についた。
周りの目がきになる。
なーに、ドラマみたいなことやってるの!と桜夏の周りには桜夏のグループの子が集まる。
「でもいいんだよ、一人だけなんていやでしょ」
確かにねぇ。とグループの面々が心のそこからうなずく。

同情されている感じがもういやだった。




みんなが息を呑む。


静かな冷え切った体育館に、イオの声が響く。



「今まで、ずっと一緒だった、仲間との別れ」

桜夏がそっと、おつかれさま、といった。


それが分かったから、イオはとっても嬉しくなった。
これが小学校で最後の、本当の笑顔だったのかもしれない。














  • 満

    2015/02/11 13:02:50

    続き読ませていただきました^^
    卒業式で泣けるのって、本当に楽しい学校生活送れた人だけですよね;;
    私も終始真顔で泣けなかったし、ちょっと寝てたりしてましたw
    桜夏みたいな人いたらいいですね(´・ω・)