春霞、夕月夜、おもほゆ。＜安心＞＜平和＞＜こまめ＞
四季のうつろい、花鳥風月とくれば、万葉集の世界。これは日本人の心の底流に
あるもの。＜安心＞だ、けれども、ちょっぴり不安。＜平和＞のようだけれども、
どこか危険な雲行き。＜こまめ＞に一生懸命に努力しているのに報われない。
　こうした薄墨のような背景の中にいる今日、この頃である。これは濁った池の底
にライトを沈めて、ぼんやりと輪郭がぼやけて見える光のさまに似ている。
今日の朝の太陽が、まさに、そうであった。生ごみを所定の場所に置きに行って
の帰り、見上げると太陽が靄のような雲に覆われて、鈍く出ていた。
　月かと見紛う景色であった。こんな太陽もあるのか、との思いがした。