木漏れ日の道
いつもより早起きして、バイクに乗って走り出す。
ハンドルは山の方に切っていく。
やがて街並みは緑に変わってく。
青空に白い雲
それだけで十分
赤い橋を渡ると、アスファルトの切れ目が表れる。
そこは森の入り口
熱くなったエンジンを止めて深呼吸を一つだけ
静寂の中に、息吹が聞こえる。
風が抜けていく木々のざわめき
いつまでも止まらないウグイスの泣き声
騒ぎだすのは僕の心
シングルDOHCのエンジンに火を入れる。
雑多な日常から抜け出して、どこかへ続いてく林道へ分け入ってく
道は上ったり、下ったりを繰り返し、右に左につづら折れ
辺りは木漏れ日の差す林道へ様変わり
森の空気を肺いっぱいに吸い込んで
僕の中まで森に満たされていく
やがて展望の開けた場所に着く
そこは偶然見つけた、僕だけの空間
静まり返った森の中、木漏れ日がゆらゆら揺れている。
フィルターの取れた空を仰いで見る。
遠くで、とんびが円を描いてる。
たったそれだけで、笑顔
ひとしきり、ひとり
人知れず、ひとり
木漏れ日の道を抜けていく