幸せか不幸せか

なつみかん。

私は誰かを羨んでばかりいる、それしか出来ない

興味をひくもの

自作小説

 夏の、冷蔵庫から取り出したキンキンのラムネ。
手のひらの温度差でドライアイスみたいに冷たい瓶と、瓶を傾けるたびにしゅわしゅわ、ゆらゆらと漂うソーダ。
べこんとへこんだ瓶の中央、溝の上を転がる透明な硝子のビー玉。

夏空にかざしてみると綺麗に透き通った淡い水の色。




 大合唱の蝉の声。ミーン、ミンミンミンミン......ジジジジジジジ、カナカナカナ...。
いくらなんでも同じ楽器が多すぎやしませんか、別に気にしていない様子だけれど。
葉の裏、低い木の幹、茶色いのは忘れもので、誰かの宝箱行き。
ピンと伸びたはねをばたつかせて夏の遠征ツアーを一週間程度。

会場はアスファルトだらけの通り、犬の佇む広場のど真ん中で。観客は私。




 空も鬱になり、夕立が降る。ぴちょんと服に滴がのれば、そのまま雨と散歩だ。
すこし痛い頭とよく目立つ赤い傘と、保育園帰りの小さなお子様は黄色いレインコート。
べとりとはりつく髪の毛をかき分けて夏を楽しむ。

深呼吸をしてみると、鼻によく通る湿った風の匂い。一瞬の雨の匂い。




全部を最高の夏に。いや、夏は最高なのだ。

  • 未夢

    未夢

    2015/08/12 02:45:04


    こんばんは!
    ここに失礼します!
    RAN48からお久しぶりの巡回です(笑)
    ステキ〜