小人閑居して不善を成してやろうじゃないか

Joe

このつまらない俺に暇を与えてごらんなさいw

ありふれた日々 #2

自作小説



桃子の出社後はPCを立ち上げてから真っ暗な休憩室で仮眠とも言えない時間を過ごすのが常になっている。朝は瞼が重い。昔の私はこんなじゃなかったはずだ....。                                  
昔を思い出そうとすると胃の奥が重くなる自分がいる。高校を出て入社した私はお客様の注文を受ける職場に配属になった。職場には絵に書いたようなお局様とその両腕が我が物顔に振る舞っていた。
『同じことは二度言わないから!一度聞いたら覚えて!』 
『メモなんか取らないで!時間がかかるから!』                              
『いちいち泣かないで面倒くさい!』
浴びせられる言葉に毎日やめることばかり考えていたがその勇気もなく、仲間輪にも入れず耐え続けた。お局様と両腕は私の事を 貞子 と呼んでいたらしい。あのホラーに出てくる貞子だろう。他の同期の女子は男達にチヤホヤされて楽しそうだったがお世辞にもかわいくもなく始終鬱いでいる私になど用事がなければ誰も話しかけては来なかった。男性上司もそんな状況を見て見ぬふりを決め込んでいた 。
その後、顧客の外線を繋いだまま先方の悪口を言ってしまったお局の片腕は退職に追い込まれ、お局自身も新しく着任したまともな部長に飛ばされた。
 私の時代が来たのだ。

ふいにラジオ体操の呑気な音楽で思考が妨げられた。
始業時間になるとうちの会社はラジオ体操が流れ、なんともなしに各々がラジオ体操を始めるのだ。重い腰と瞼を連れて執務室に戻った