金木犀

小説/詩

雨が好きだった

傘もささずに飛び出した

音も景色も感覚も

すべて水におおわれて

そこには私だけがいる

この雨が去ってしまうまでは

ずっとここにいたいと思う

涙は知らない どうせ混ざってわからない

雨に濡れるのが好きだった

たとえ自分を誤魔化しているだけだとしても

ずっと笑っていたいから