小人閑居して不善を成してやろうじゃないか

Joe

このつまらない俺に暇を与えてごらんなさいw

ありふれた日々 #4

自作小説

「大田様
お疲れ様です。
通信販売事業部の高田です。
現在通信販売アイテムで過剰在庫になっているものについて当部にて問題になっております。
つきましては通信販売部長に現状の説明と問題点について速やかにご説明願います。

通信販売部販売課 高田 直之」

朝はローテンションな桃子も流石に体温が上がるのを感じた。

桃子は需給担当として通信販売部からの販売計画に合わせて在庫のコントロールをしている。だが、この文面ではまるで桃子のミスで不要な在庫が発生していると決めつけている。一瞬で怒りと悲しみの入り混じった感情に支配された。
いや、だめだ、冷静になろう。先ずはどのアイテムの事を言われているのか?本当に過剰在庫なのか調べなきゃ・・・朝だからかイラつきからかわからないがうまく考えがまとまらない・・・毎朝のルーチンを放棄して高田の指摘しているアイテムが何かを300品目の中から調べ始めたがやはり多すぎる、一時間経って30アイテムを調べたが一向に見つからない。焦りが不安を呼び不安が判断を鈍らせた。

文一郎も高田からのメールをccで受け取っていた。
高田は文一郎が業務フォローをしていることを知っており、間接的に責任を問いたい気持ちがあるのかもしれない。文面があまりに他責を匂わせているのが不快ではあるが一担当がここまで書いてしまうのは何かしらのプレッシャーを受けていることも察しがつく。先ずは相手がどんなデータを元にどんな思い込みでこのようなことを言っているのかを確かめなければ始まらないものだ。
桃子はどのように動いているだろうか?遠目に観察をしていた。
何かせわしなくpcのキーを打ち、マウスを動かし落胆の表情を浮かべる・・・もう1時間もそうしているが疲労感が表れてきている。同僚の問いかけも内線電話も気持ちが入っていないの見て取れる。
そろそろ限界かな・・・。文一郎の思う限界とは通常の業務に支障をきたさない限界。このラインを踏み越えてしまうといろんな部署に影響が出てしまう。代替できる人間がいない場合はこのラインを越えるべきではない。
さりげなさを装いながら桃子のデスクへと向かった。