縁日の古時計。
　雨だれの音に気付いて、今日は天気の筈なのに雨か？待てよ、
時計の秒針の音か、と納得する。実は二十年ほど前に縁日の
くじ引きで当たった時計なのだが、一度、止まって捨てようかと
思ったが、電池交換をして、いじくっている内に動き出した。
　それ以降、ずっと使っているのだが、ある時、古いし、時刻が
狂うので、やっぱり、捨てようということになったが、今度は私の
寝室の柱にかけて、辛うじて延命させてきた。ところが、冒頭に
書いたように秒針の音が、雨だれの音に類似しているために勘違い
してしまうのである。
　勘違いはよくあることだが、反応し過ぎるのも困ったものだと思って
いる。勘違いと気付くのはいい方で、何も気づかずに思い込んでいる
ことってないだろうか。いわゆる、こんな筈ではなかったということだ。
錯覚は誤解を生むから、できるだけ避けたいが、世の中、思うように
いかないことばかりである。