金木犀

偽善と想い

小説/詩

優しさだけですべてを受け止めようとした君は
悲しい顔をしていなくなってしまった

僕の心臓を二つにして
君にあげることが出来たらいいのに
独りでつぶやいてみた

僕らが描いた未来は決してやっては来ないと分かっても
どこかで君が生きているなら
こんな世界でも僕は笑って生きていけるよ

偽善でもかまわない
それでもいいと言ってあげよう
それで誰かが救われたなら
悪い事じゃないんだ

僕の声をかき消す風が君の背中を押すのなら
もう声なんて届かなくていい
君が進む姿を一目見たいだけ

出来ることが少なくて
誰かに託すことで終わってしまっても
自分を責めなくていい
君は間違ってないと僕は知ってる

僕らの心を一つにして
君と分かり合えたなら
この気持ちは素直に伝わるだろうか
君の想いは救われるだろうか