拳銃
それは大きな音から始まった
その音は一瞬だった
音はその一瞬で空気を支配してみせた
倒れていくその姿はゆっくりと見えた
しかし頭の中では一瞬で何度も見ることが出来た
思い出すその瞬間は無音の世界になる
大きな音は覚えている
その音をはっきりと表すことが出来ない
倒れたまま動かない姿に私の体は感覚を忘れた
倒れた姿の変化から目を離せないまま
頭の中ではさっきの出来事が何度も流れる
声が聞こえる気がする
足音が聞こえる気がする
誰かが倒れた体を抱き起している
見えるものの中で一番はっきりと映る赤が大きくなっていく
私も何かしないといけない
何を?
何も思いつかない
支配された空気の中で
私もまた支配されていた