生命の転機なのか。
　読書会のメンバーの一人から「体調がすぐれず、外出が重荷に
なりました。」と欠席メールが届いた。もともと、この方が小説
を書き上げたいと言われて、作品研究も兼ねて読書会を提案され
たのでした。始めてから三十数年も続いてきたが、発起人のご本人
が重荷を感じるようになってきた。今年八十二歳になられるから、
列車に乗って出かけるのが、億劫になってこられたのだろう。
　読書会が曲がり角に来た。寄る年波には勝てないということだ。

　小説を書きたいと思って、大阪文学学校に入ったのは三十数年
も前のことであった。どこで学校のことを知ったかといえば、私は
大阪北の堂山町にある古ぼけたビルの三階にあった週刊紙の編集
メンバーであった。労働組合や活動家個人を購読者にした小さな
情報紙であった。この会社の近くに喫茶店があって、ここのママ
さんが大阪文学学校に通っていた。

　このママさんというのは南の宗右衛門町でクラブを経営していた
が、お年をめされて引退し、余生は小説を書きたいと自宅を喫茶店
にされていた。休憩時間には必ずママさんの喫茶店で原稿の整理を
したりしていた。ある時、ママさんがカウンターで四百字詰めの
原稿用紙に文章を書いているのに出会った。

　いろいろと話を伺っている内に同人雑誌の批評会をされている
ことから、大阪文学学校へ行きなさいとなった。この交友を通じて
文学好きのお医者さんが主催する「文芸ウイークリー」にも参加
させていただいた。長くなるので続きは、またの機会にします。