宇宙は幽霊界かもしれない。
　１秒間に数十万個の素粒子が通り抜けているらしい。
素粒子は原子になれなかった物質とすれば、水素なり
ヘリウムなりリチウムなりの原子になりたーいと思って
広大な宇宙を彷徨っている幽霊かもしれない。

　素粒子は成りそこないの彷徨える宇宙の貴公子なのだ。
こう考えると、楽しくなってきた。無数の寂しがりやの素粒子
が愛おしく思えてくるから不思議である。誰か、宇宙の貴公子
に恋をする人が現れないだろうか。男でも女でも、犬でも猫
でもパンダでもいい。素粒子君と友達になってやってほしい。

　この広大な宇宙を洪水のように無数に飛び交って、誰にキャッチ
されることもなく彷徨える素粒子達よ、早く恋人を探し出して
新しい原子に変身して欲しい。地球には存在しない未知の原子を
生み出してほしい。未発見の新原子は巨大なエネルギーを蓄えて
次のビッグバンを準備するかもしれない。

　新原子は新しい物質を生み出すかもしれない。ウランより数千万
倍の比重をもった重い原子が誕生すれば、この宇宙空間を歪めて
銀河宇宙をも引き付けるかもしれない。ああーー漫画の世界だ。
現代の地球では思いつかない、壮大な漫画が描けるかもしれない。