昨年の秋、私と息子と叔父貴の3人で魚釣りに行ったのです。
狙いはアナゴの夜釣り。
場所は房総の付け根の袖ヶ浦に出掛けました。

普通、アナゴを狙う場合、餌は青イソメという釣具店で売っている生き餌を使います。
工夫している人はサバの切り身を使う人もいます。
私たちが使った必殺のアナゴの餌は、イカの切り身なんです。
イカは適当な匂いもあり、夜釣りと言う事で色も白くて目立つ。
そういう理由で私たちはイカを使うのであります。

釣り始めてすっかり夜の帳が下りると、早速叔父貴の竿にアタリが！
釣れたのは４０ｃｍもある大きなアナゴ。
その後、叔父貴の竿ばかり立て続けに3本のアナゴをゲットしたのです。
ところが私とキアヌｸﾝの竿にはアタリがありません。
ようやくアタリがありキアヌｸﾝが上げてみると、ゴンゴンという手ごたえと共に同サイズのアナゴが！
しかし、水面に上げる直前でポチャンと落としてしまったのです。
アナゴを釣り落とした直後のキアヌｸﾝは、そのままショックで動かなくなり、頭の中ではホイットニー・ヒューストンの「オールウェイズ・ラヴ・ユー」が鳴っていたと言う。
まさに、天国から地獄へ真っ逆さまであります。

結局それが私たち親子の最初で最後のアタリとなり、ノーフィッシュでフィニッシュ（言いにくいな）。
帰りの車中、キアヌは悔しさのあまり

「リベンジじゃ！リベンジじゃ！」

と繰り返す有様。

仕方なく、昨年の暮れも押し迫った頃、リベンジに出かけましたよ。
叔父貴と釣った場所へ、昼少し過ぎ辺りに到着。
明るいうちはアナゴは釣れませんので、暗くなるまで落ちハゼでも狙おうと言う事になりました。
この季節のハゼは落ちハゼと言って、産卵のために脂が乗っててんぷらにすると非常に美味しいのであります。
２０ｃｍほどの見事なハゼを2尾ほどゲットすると、私たちの釣っている前に大きな船が停泊してしまったのです。
その場所は本来船の停泊場所。
当然船が優先され、私たちは釣りをする事は出来なくなりました。
実績のあるポイントを追い出された私たちは、ハゼもゲットしたし帰ろうか？という話も出ましたが、前回のリベンジを果たせないキアヌはどうも納得がいかない。
仕方なく、もう一つの港にでも行ってみようと言う事になりました。

そこは叔父貴が釣った港から5分ほど離れた場所。
釣り人も少なく、あまり釣れないオーラが出まくっておりました。
まだ取って置きのイカを出すには早い時間だったので、引き続きハゼ狙いで竿を出してみた所、いきなりアタリが！
さっきと同じサイズのハゼが上がってきました。
ここ、なかなか釣れる場所じゃん！と言う事で引き続きハゼを狙う。
暗くなるまでに10尾を超える釣果を得た私たちは、結構満足なのでありました。
しかし、本当の狙いはアナゴなのです。
ようやく暗くなり始めたので、いよいよイカ餌の投入であります。
時間は18時を回り、すっかり暗くなってきました。
すると、待望のイカにアタリが！
コツコツという竿の動きに、慌てて竿を上げた所、残念ながら空振り。
餌は食いちぎられ、針には何も掛かっていませんでした。
今度はもう少しゆっくり食わして上げようと、再びイカ投入。

時間にしてもうすぐ19時になろうかという頃。
諦め負けていたその時であります。
さっきと同じ「コンコン」という竿の動き。
待て待て、もう少しゆっくり食わせよう。
そして今度はゴンゴンゴン！という連続した大きなアタリが！
このアタリは完全に魚が針に掛かったアタリ！
行け～！キアヌ！
興奮気味に竿を手にするキアヌ。
竿からは魚が掛かったガツンという手ごたえ。
来た～～っ！
イカはハゼが食う事はない。
掛かっているとすれば、大きなイシモチかあるいは恐ろしい毒針を持つエイ。
そして本命のアナゴしか有得ない。
暗がりの水面に姿を現したのは、今まで見た事も無いような大きさの細長い魚体。
巨大アナゴだぁ！
満面の笑みと共に、今度は慎重に魚を水面から引き上げるキアヌ。

やったぁ～～っ！

全長５０ｃｍはあろうかと言うほどの巨大アナゴ。
太さにして５ｃｍはあるだろうか。
悔しさを全て清算したキアヌが、確かにそこにいるのでした。

その日の私たちの釣果。
卵を腹にパンパンに持ったものを含めた見事な落ちハゼが13尾。
そして私たちの本命である５０ｃｍの巨大アナゴ1尾。
私たちは大満足で、2015年の竿納めをして帰って来たのでした。