牛が引く車
平安時代の乗り物と言ったら牛が引く『牛車(ぎっしゃ)』ですよね。
牛べえさん、2足歩行で人力車のように引っ張っていますが、
ホンマは、牛なので当然4足歩行ですね。
なぜ、牛なのか?
馬(馬車)じゃないのか?
多分、日本では農耕に使う「牛」が身近というか、
馬はきっと数も少なかったでしょうし、
狭い日本、速く走る必要もなかったんでしょうね。
で、源氏物語、この牛車の事件が起きます。
『車争い』と言って、ま、場所取りで揉めるんですが、
それが殺人事件につながります。
当事者は光源氏の正妻「葵上」と愛人「六條御息所」です。
今も京都の三大祭りで「葵祭」がありますが、
源氏の時代、帝の代替わりで「伊勢の斎宮」と「賀茂の斎院」も
交代します。
賀茂神社の方は京都にありますので、そこの斎院の交代の儀式の
行列を見るために、皆さん牛車を大通りにびっしり並べて見物です。
ましてや、今回その勅使が光源氏というので、いつもよりたくさんの人が
物見に出るわけです。
で、一目見たいとおふた方も出かけるんですが、
葵上出かけるのが遅くなってしまって、いい場所がないんです。
そこで、左大臣家と言えば、当時の一番エライ貴族ですから
「ハイ、どいて!どいて!!」というわけです。
そりゃ、アカンよね。
その上、六條の車と見破って乱暴を働くんです。
停める時は牛を外して、台に乗せるんですが、その台を壊してしまう。
恥をかかされて、六條、大激怒ですよね~。
まぁ、本人直接「呪い殺してやるッ!」って頭にロウソクくくりつけて
丑の刻参りしたわけじゃないんですけども、
夕顔に引き続き、「念」のチカラで呪い殺してしまいます。
葵上、この時身重なんですが、光源氏の赤ちゃん産んで死んでしまいます。
「呪詛」が信じられていた時代ですからね~。
現代心理学の境地から言うと、自責の念というか、
「いくらなんでも、六條御息所にあんなに恥をかかせて
恨まれてるんじゃないか?」とか思いますよね。
それでなくても、はじめての妊娠で気分は悪いし、不安だし、
マタニティブルーと相まってストレスで夜も眠れない。
ま、そんなん言うたらおもろないんです。
でも、このことが源氏にバレて六條御息所、身を引くことになります。
ムービー見てると、ピカルくんのお話は大分、キャラ設定が違いますね~。
水曜日に公開される姫たちが楽しみです。