自己暗示の呪文。
　自分が自分に問いかける。「俺は、何してるのや。」と自己激励する時ってありますね。コーヒーをこぼしたり、お湯が沸騰して吹きこぼれているのに気づかず、コンロの周囲が水浸しになった。スリッパを敷物にひっかけて、転びかけた。ドキッとする危ない思いをしたことはありませんか。「しっかりしろ。ボケてたらアカンで。」という風に自ら叱咤する。大事に至らずに無事でよかった。「ありがとよ！」。

　後ろから来た車に跳ね飛ばされそうになった。「南無阿弥陀仏。南無大師遍照金剛。神さん、ありがとう。一瞬で助かった。」など無意識に出てくる言葉がある。学生の頃は「やまが当たりますように。」とお願いしたこともある。しかし、無事に終わると忘れてしまう。後日、そんなこともあったのか、という感じである。悪いことは忘れられないが、良かったことは忘れてしまう。健康であり、無事で毎日、過ごしているということは運があることなのである。人間は欲深いから、平凡な安穏生活に満足できない。上を目指すことはいいことなのだが、どうしても欲に振り回されてしまう。それに他人よりも上にいきたいという本能も出てくる。

　「何とか、うまくいきますように。何とか、契約できますように。」向上心のある人は、みんな、この何とか教の信者なのですか。チョコレートを渡すだけなら、緊張することはないだろうが、何かを申し込んだ時、もし、拒否されたら、無視されたらと思うと、「おお、神様、仏様、八百万の神様。マイゴッド。」と訳の分からないことを口ずさんで、とにかく、お願いするケースだってある。願い事はすべてにおいて同じことである。目標を達成することである。受験だって、病気だって同じことだ。

　頼み事は、「自己暗示の呪文」につきる。意味があるとか、ないとかではない。ある意味では縁起担ぎかもしれない。ハッピーエンドに終わってほしい。ギリギリでもいいから、無事セーフであってほしい。「もぐもぐもぐ、とにかくお願いします。」