うみきょんの どこにもあってここにいない

うみきょん

日々のはざまについて、
地上でみた夢の記憶、
地中で見られた眠りのすきま、
絵画や小説、想像世界、花たちなどについて
静かに渡りを記述しています。

花たちのリレー

人生

桜がもう、ほかの花たちに変わってしまった。
ひとかたまりだけ、まだ満開といった枝で、あとは葉桜…
そんないっぽんの桜の木をみた。
川沿いで。
まだこの桜は、満開のはれやかな、かつおそろしいような
姿を想像することができる。
いちばんうつくしい姿を。
川面にむかって手をさしだすようにのびた枝の
あやしいまでの絢爛さ。

その川だと、桜にかわった満開は、菜の花だ。
きいろいあちこち。

その川をとおったときよりも、ほんのすこしだけ
時間をさかのぼる。
また、スーパーでの買い物の帰りに
湧水の池へよった。池のむこうに
柵がしてあり、そこに白い花たち。
ちかよってみることができなかったから
たしかではないけれど
あれはおそらく二輪草だ。
白い花たちが木の下で、ちいさく
花畑をつくっていた。
池は日をあびて、きらめいている。

そういえば、二三日前に、ナルコユリをみたなと
おもいだす。
花たちは、しばらく、まるでなにかをわたしてゆくように
つづくだろう。