金狼の重圧 『エデン編』第2部…1
「僕に何か用ですか?」
初めて聞く声にユウジはハッとする。声のする方向に顔を向けると見たことも無い男がこちらに近づいてくる。
「……」
不敵な笑みを見せる男、顔立ちは少年のようにも見える幼さを感じさせた。肩まである長髪をなびかせて歩いている。
明らかにウルフでは無い。
ユウジは金色のEMと男を交互に見ることを繰り返す。彼は信じたくなかった、このEMがウルフのものでは無かったことを。
「これは…このEMは君のものか?」
「はい」
自信たっぷりの澄み切った声で軽々しい答えとは違う重厚な返答だ。
ユウジは落胆した。それは長髪の男にも分かるほどだった。しかし長髪の男はその落胆を意味関せずユウジに対して話す、ユウジを長い時間の待ち人のように、遠慮なく。
「あなたはウルフでは無いですね…ウルフの知り合いかな?」
待ちわびていない男からウルフという単語が出てきたのを聞き、ユウジの落胆は少し止まる。この男がウルフの事を知っているかもしれないじゃないか。
質問を質問で返す失礼を忘れるほどに、ユウジの心を焦っていた。でも聞きたい気持ちが先に出る。
「君、ウルフの事を知っているのか?…居場所を知っているのか?」
それを聞いて長髪の男は顔色を変えた。今度は彼がユウジよりも落胆した、膝から崩れんばかりに。
「まさか?……知らないのか?」
「…知りません……もしかしてあなたもウルフを探しているんですか?」
クルミ
2016/04/26 20:13:30
新たにウルフを探す人が現れた。