金狼の重圧 『エデン編』第2部…2
今までゆっくりとした速度で落ちていた太陽が、急激に速度を上げ黄金色の世界を閉ざしていく。まるで二人の気持ちと呼応するように。
「……バカな、そんなバカな…」
ユウジは顔を上げることができなかった。
「かなりショックのようですね…僕がウルフじゃなかったことに…」
長髪の男は軽口をたたいたつもりはなかった、しかしユウジにはそれが許せなかった。その言葉を聞き何か切れた音がしたのだ、それと同時に男の襟首に掴みかかる。
「…俺はな、俺たちはな!」
そう声を荒げても、男は顔色を変えなかった。いや、先ほどよりもまっすぐな目でユウジを見つめていた。ユウジは混乱で震えながらもその目に何か真意があるのではと思い、若さに頼った行為を恥じた。
手の力を抜く。
「…すまない…少し混乱してしまった」
「…いえ」
深呼吸をし、冷静さを取り戻し、ユウジは彼の素性を知ろうと思った。金色のEMに乗っているなんて、ウルフ、その知り合いを誘いだそうする行為に他ならないはずだ。このウルフを探していると思われる男には、何かしら自分の知らない情報があるのではないかと思ってたのだ、必ずあると。
先ほど彼は『あなたも」と言った。そう『…も』だ。
「俺は…ウルフと同じ世代で走っていた者だが…君もウルフを探しているのか?」
「はい」
…やはり。
「君…名は?…いやコードネームの方がいいか…」
ユウジのことを年上の者だと感じ取っていた男は素直だった。
「コードネームは…………エデンと言います」
男は自信なさげに答えた。
「エデン?」
エデンと聞いた時、ユウジは何か懐かしさを感じていた。エデン?どこかで聞いたことがあるような…しかし、ユウジは思い出すことができない。脳の中に微かにこびりついた記憶は、そう簡単には取りだせなかった。
ミチクサ
2016/05/08 06:06:14
先の展開が気になってるのですが・・続き・・読ませて下さい