フリージア

金狼の重圧 『エデン編』第2部…4

自作小説

「少し冷えてきたな…もうそろそろ戻るか?」
「…………ああ」

季節は秋に差し掛かる。山頂付近は日が暮れかかるといっきに冷え、ライダースーツを着ていても身ぶるいを禁じえない。EMにのっていればなおさらだ。

ユウジとエデンが出会っていたその時、とある二人の男がオアシスにある大音地山でツーリングに勤しんでいた。ユウジたちがいるパーキングエリアからはそれほど離れてはいない。

「どうだ?街で走る気にはなったか?」
黒いEMに乗っている男は、白いEMに乗っている男にやさしく語りかけた。
「…そうだな…もういいのかもしれないな…」
白いEMに乗った男は無表情で答える。しかし、語尾に近づくと少しだけ笑った。

太陽が落ち、闇が下りてくる。
ライトをつけた二人は山を下って行った。テールランプの残光をなびかせ、1人は光り輝きもう1人は闇へと溶け込んでいった。