ひとりの魔法騎士の物語/学園生編~入学式・下~
―これより、マジカル学園高等部グランクラス入学式を開始いたします―
カテドラルが人でいっぱいになった頃、この言葉が響き渡り、ろうそくの明かりや窓からの日差しがすべて消え、真っ暗になった。
わぁー!
部屋のあちらこちらから歓声があがる。
天井を見ると、満天の星がそこにあった。
流星群が来たかと思うと、星は姿を変えて、生徒たちの前に現れた。
「マジカル学園へようこそ。
入学試験という狭き門をくぐり抜けた君たちを歓迎するよ。
私は、この学園の理事長。」
フクロウが静かに舞い降りながら、新入生に語りかける。
フクロウ理事長(以下、フ理)「君たちも学園生活に心踊らせているだろう。
では、学園生活を彩る各学科の専任教師たちを紹介しよう。」
すると、一筋の光がスッと現れた。
上を見上げると、光源から人が降りてくるのが見えた。
「賢者科専任教師、リリア・ラ・メールですわ。
かつてとある国で国守(くにもり)をしておりました。」
「ピエール・モネ、魔法使い・魔女科専任教師だ。」
「セシリア・リュミエールです。魔法騎士科専任教師です。」
三人が着地すると、フクロウ理事長が更に言った。
フ理「そして、このカテドラルの管理する「幻師(うたかたのし)」、ルクレツィア・スチュアート!」
先ほど、語らった女性が現れた。
「私がここを管理するルクレツィア・スチュアートです。
さて、少し内装を変えてみせましょう。」
ルクレツィアが指を鳴らすと。
「わぁー!」
そこは、大草原だった。
ルクレツィアを見ると、光の玉がいくつか寄り添っていた。
ルクレツィア(以下、ル)「この子たちは、カテドラルに住む妖精たちよ。
実はこの子たち、ある素質を持った子にだけ、光の粉を振りまくの。
さあ、妖精たち。
素質を持つ子に祝福を!」
そう言うと、妖精たちは祝福を与えるべく、飛び回った。
「わ……わたし?」
光の粉をかけられた生徒たちは、自分の服が変化したことに驚いていた。
ル「今、服が変化した子たちはこちらに」
100人くらいいる新入生の中から、祭壇へ向かったのは、私を含めわずか10人。
ル「妖精たちの祝福を受けた、この10人には、【精霊使い】の素質を持っているの。
だから、あなた方には【精霊使い科】の兼科を認めます!」
フクロウ理事長が私たちに不思議なリングを授けた。
フ理「これは、精霊使いのみが使えるリング。
これで、精霊を呼べるんだ。」
「ありがとうございます」
フ理「これで、グランクラス全体の入学式は終了だ。
この後は、各専科ごとに分かれてもらう。
なお、兼科している生徒は、第一専科としているものを優先すること。」