【お話】ドアだらけの異次元通路
「もう、だれだよ。扉を開けっぱなしにした人は」
旅人は、まゆをひそめた。
異次元通路に、無数にある出入り口。
うっかり開けると、よその世界の生き物がなだれこんでくる。
だから扉は、慎重に、慎重に、扱わないといけないのに。
どこかのだれかが、いくつかの扉を開けっぱなしにしてしまった。
おかげで、海の生き物もどきやら、
意志あるちぎれ雲なんかが、
ふわふわ、ふよふよ、
うろつき回ってる。
「回収して、元の世界にもどしてやらないと……。
管理人でもないのに、なんでわたしがこんなこと」
怒りながら、扉をしめてゆく。
「あれ? こんな所に扉、あったっけ?」
そこで見つけた、不審な扉。
「どこにつながってるんだろう」
旅人は、知らなかった。その扉が、
この通路に穴を開けてしまった、はた迷惑な侵入者の置き土産だったとは。
そうして、扉を開けた先の世界に、
よその世界の生き物がなだれこんでおり、大混乱が起きていた、などとは。
その後始末を、自分がやる羽目になる、などとは。
この時は、まるで知らなかった。
***
ちょっとSFっぽくしてみました。
ドアの開けっ放しは、良くないね。しめようね。
カレー子
2016/07/24 19:13:33
かわいい!!
こーゆう使い方もあるのですね!
なるほど~(´ー`*)
たまき
2016/07/24 10:30:41
すごい!見事な世界が表現されてます!
イベントアイテムもうまく使っていてグットです!