小人閑居して不善を成してやろうじゃないか

Joe

このつまらない俺に暇を与えてごらんなさいw

ありふれた日々 #20

自作小説

#20

桝友へのネゴが終わった夜、文一郎が帰宅したのは23時を回っていた。

プロジェクトのある期間はいつもそうだ。社内では相変わらずプロジェクトが遅々としてすすまず自分が守備範囲を越えて引っ張っていくことになる。スケジュールが守れないというよりもまともなスケジュールを引けない連中が多すぎ、その添削から始めることになり、すべてのタスクが密接にかかわる場合は関係タスクすべてのスケジュール進捗に口を出すことになり、結果的にそのスケジュール遅延の巻き返しにも一役買うことになる。今までかかわったプロジェクトの成功率100%そして毎回功労者と称えられるのはそんな過ぎたお節介の副産物に過ぎない。

 部屋着に着替えてグラスに氷を多めにぶち込みアーリータイムスのイエローを半分ほど注ぐ。

一人がけのソファに身を預け、1/3ほどを一気に喉に流し込んで天を仰いだ。

冷えたウイスキーのアルコールが鼻腔を抜け一気に心地よい脱力感が体を包む。目を閉じるとそのまま眠ってしまいそうだ。一人暮らしの身ではとても危険な行為だ、翌朝に残った洗濯ものと汗臭い体、空腹な胃袋、すっかり水で薄まってぬるくなったウイスキーの残るグラス・・・それらすべてを朝の忙しい中で片付けることを思うともう少しだけ気力を保たねば・・

 服をすべて脱ぎ捨てシャワーを浴び、冷蔵庫にあるもので名前もない料理をつくった。

食事は遅くなっても必ずすると決めている。昔から刷り込まれた習慣であってそれ自体が体にどう作用するかにはさほど興味はない。一度覚醒してしまうと次の睡魔はなかなかあらわれない。だが、少しでも間が空くと会社で抱え込んだ不平や不満、怒りや憤りに支配されてしまうためできるだけ思考を他に向けるようにして過ごす。アパートの隣の大学生のみている深夜番組の下品な笑いが壁を伝って聞こえてくる。同じ番組を見ると気にならないという対処方法が最適なのだ。

しばらくすると急激に眠気に襲われた。寝床にはいってなにかを考える前に眠りに落ちた。