春巻きのトキどき日記

春巻き

日常のあれこれをゆるゆると。
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「超高速!参勤交代リターンズ」を観てきました。

映画

公開中の映画「超高速!参勤交代リターンズ」を観てきました。
こちらは2014年に公開された作品の続編にあたります。

※以下ネタバレになる可能性があります



人々から愛される質素な藩のお殿様と家臣に対し、
「たった5日で現在のいわき市から江戸城へ参勤せよ」
という命が下ったからさあ大変。
お金も時間も無いから走って走って、
関所はとんちとハッタリで切り抜ける!
果たして一行は期日までに到着するのか? 
藩を取り潰そうとする陰謀の主を倒せるのか?

と、いうのが前作のあらすじ。
佐々木蔵之介さんが主演で、
寺脇康文さん、西村雅彦さん、深田恭子さんらが出演されています。

時代劇ではありますが、
無理難題に知恵と仲間の協力で挑んでいく構成は
現代にも充分通じるものではないかと思います。
また勧善懲悪の筋書きや派手な戦闘シーンなどは、
往年のコメディ時代劇の流れを汲むものであり、
見ごたえもばっちり。
何より、殿様をはじめとする、家臣たちが、
ひとりひとりキャラが立っていて良い!


前作は黒幕を退けて無事参勤を果たし、
殿様のあるトラウマも克服して綺麗に終わっていたので、
最初は「これに続編いるかな?」と思っていたのですが、
観終わってみれば、
「ああ、ここまで観れて本当に物語が終わった気がする!」
と感じる続編に仕上がっていました。


今回は参勤交代の「交代」部分、
つまりいわきの湯長谷藩への帰りを描く物語なのですが、
途中でお城や領地が何者かに襲われたという報が入り、
その責任を負わされて藩が取り潰しの危機に瀕します。

殿様たち一行は今回もあの手この手で急いで駆けつけるのですが、
そこには田畑を奪われ、土地を荒らされ、
嘆き悲しむ領民たちが……

正直、単独の映画として純粋に見た場合、
「続編を作るための事件」であって、
やや無理がある展開だとは思います。

けれども、この作品の舞台は現代で言ういわき、福島県。
愛した土地が奪われるということ、
「ふるさとに帰る」ということ、
そこにあの震災を重ねて観ることで、
人々の手に土地を取り戻そうと戦う
殿様と家臣たちに移入して熱く応援してしまいます。

もちろん、個性豊かな登場人物の会話の面白さ、
クスクスと笑ってしまうギャグは健在で、
「いやいや、いくらなんでも騙されないでしょ!」
というツッコミどころがむしろ"(笑)"として、
許せてしまう勢いも変わりません。
出演者の皆さんもむしろ、キャラを掴んでいる分、
前作以上にノリノリで、楽しんでいらっしゃるのが伝わってきます。

一番面白かったのは死体に扮した内藤様(殿様)。
猿の菊千代も随所でいい芝居してたなあ。

殺陣についても見ごたえ充分で、
爆発炎上シーンは前回よりは少なめでしたが、
多人数が戦いを繰り広げる場面では
流れるようにカメラが動いていき、
戦闘の迫力を盛り上げていました。

最終決戦については、
いわゆる時代劇の定石からは外れているので、
やや物足りなさもあるかもしれませんが、
単純に「倒して勝利!」とならないのが、
現実の問題と重なる部分でもありますし、
あの行動こそが内藤様らしいとも言えるので、
良かったなと感じています。

そしてエンディングは、
よみがえった田畑で笑顔を交わす人々。
大好物の湯長屋の沢庵をかじる内藤様。
祝言を祝う踊りに皆が加わっていく姿が描かれ、
胸が熱くなりました。

現実の状況を考えてみれば、
いろいろ辛いことも、終わらないこともたくさんある、
けれど、この作品の彼らは戦って、
そして、人の縁と協力で乗り越えて、
帰ってくることができた。

「ここまで観れて本当に物語が終わった気がする」
と感じたのはそのためです。

難しいことはいろいろあるけれど、
この続編を観れて良かった。
蛇足じゃなくて、帰りの道も含めての物語なんだ、
個人的にはそう思うことの出来た映画でした。