セカンド

とうの物語 その3 村祭り

小説/詩

木は下から見上げると力強いけど
上から見ると丸く優しく見える

村はずれの小さな山に
大きな大きなそれはそれは大きな木がありました

木には神様が宿っているという
言い伝えがありました

村人から見ると
ちょっと恐い威厳のある大木でした

でも鳥たちから見ると
そこは絶好の休み場所

毎年多くの雛がかえり
夏には蝉やカブトムシが暮らしていました

ある日この山で木こりが足を滑らして
大けがをしてしまいました

見ていた鳥が大木に知らせました
村人たちに知らせないと命が危ない状態でした

一刻も早くふもとの村に伝えなければと
木は風の中に歌を歌いました

「木こりの与平が怪我をした
山で転んで怪我をした」

「木こりの与平が怪我をした
山で転んで動けない」

吹き下ろす風にのって
村へと流れて行きます

『与平が怪我をしたって
誰かが言ってたぞ』

『山で転んで動けないって
誰かが言ってたぞ』

『そう言えば昨日から山に入ったきり
戻っていないぞ』

村では大騒ぎに
皆で山へ分け入り与平を探しました

村人は倒れている与平を見つけ
村の医者へと担ぎ込みました

与平は助かりました
鳥や大木は喜んで歌います

「良かったぞ与平は無事じゃ」
「良かったぞ与平は無事じゃ」

その日は村の秋祭り
風にのった歌声は笛や太鼓の音にかき消されました

ただいつもよりたくさんの鳥たちが
村の上を嬉しそうに飛び交っていましたとさ



遠野いや10の物語・・・その3です

木って上から見ると丸くって優しい感じに見えませんか
下から見ると枝を張っていかめしく立っているけど・・・

で思い浮かびました
10の物語あと7つも書くのかな?


  • セカンド

    セカンド

    2016/10/10 00:44:30

    いしころ様

    あと七つ・・・
    四話も書きましたがちょっとイメージが・・・

    書こうと思うと書けませんね
    ポンと常に頭に浮かぶといいのですけど

    木と話が出来たらいいでしょうね
    心と心を通わす事になるのでしょうか

    200歳、300歳なんてざらにいるのでしょうね
    実は魔法使い見たいな魔法も使えたりして

    自分を映す鏡にもなりそう
    そう言う意味では古木と話が出来るのかな?

  • セカンド

    セカンド

    2016/10/10 00:33:20

    奈柚様

    鉄橋を渡る電車の中から大きな樹が見えます
    多摩川の河川敷です

    冬は枯れて枝だけなのですが
    今は青々とした葉をたたえています

    上から見ているのですがこんもりと丸く
    やさしく何とも言えません

    でなんとなく話を思いつきました


    地球上の生物は過去へさかのぼると
    LUCAという最終共通祖先にたどり着くらしい

    みんな兄弟親戚?
    細菌もゴキちゃんも?^^


  • 奈柚

    奈柚

    2016/10/09 23:47:35

    すごくいいです!
    大木を見たら思いだしそうです

    誰が言ったか分からない事って
    案外こういう事なのかもなぁ
    鳥も木も生物ですもん
    何らかのコミュニケーション手段があって
    それが人間にも伝わる事がある?かもw

  • いしころ

    いしころ

    2016/10/09 23:45:15

    大昔 人も木とおしゃべりしてたらしい
    いつの間にか 吹き渡る風が木々を揺らす音しか
    聞こえなくなってしまったけれどね
    大きな木は大地と空をむすぶアンテナの役目をしているのかも
    自然に伸びた枝は きっと綺麗な形になって葉を茂らすのだろうね
    最近 夏に伸びきった街路樹の枝が 無残に切り落とされていく様を
    運転しながら眺めるとき 何とも言えない気がするよ
    電線に引っかかるとか 落ち葉が大変だからと 丸坊主になっていく木々を見たくない
    人間だって 世のなかに都合よく余分な枝は伐採されていくのかな・・
    なんて・・関係ないこと考えてしまったけれど 優しい物語が続いてるね 
    とうの物語の三つ目読ませていただいてありがとう
    あと 7つ・・楽しみにしてます(^^)/