とうの物語 その5 喫茶店マスター代理
ここはある郊外の街
そこに小さな喫茶店がありました
カウンターに6人が坐れるだけの
とてもコーヒーが美味しいお店でした
年老いたマスターが
一人で店を切り盛りしていました
夕方の5時半今日も満席です
でもお客さんを数えると7人
いつもそうです
コーヒー好きのお化けが必ず一人居るんです
4人のときは5人
2人の時は3人といった具合に・・・
でも誰もいない時は現れません
寂しがり屋なんです
お化けはちゃんと注文します
いつも今月の特選コーヒー
今月はメキシコ・メルセデス
機嫌がいいと隣の人とお話をします
今日のお隣は学生さん
テストがよく出来たらしいです
お勉強をしたんですね
90点を超えてますよ
明日の試験は5章と12章から出るかな
なんて内緒で教えたり・・・
もっとも学生さんは本気にはしていません
そんな雰囲気のお化けなんです
だから居なくなっても誰もわかりません
居るんですけど存在感がないのです
そんなお化けですが
ここ数カ月現れません
もともとが居るような居ないようなお化けです
誰も気付いていません
マスターもお客さんも「何かおかしいな」
「何か物足りないな」とは感じていました
そんな時マスターが腰を痛め
店を休業することになりました
「おやっ」
「休みのはずが喫茶店が開いてるじゃん」
「マスターの腰が治ったんだな」
と常連客が扉を開けました
するとそこには中年の・・・
いや若い様な年を取っているような・・・
感じの良さそうな男の人が
笑顔でカウンターの中に立っていました
「いらっしゃいませ
わたしマスター代理のマスターです」
「腰が治るまでのヒンチヒッターなんです」
と小さな声で言いました
「あんたどこかで見た顔だね
ここによく来ていた人?」
「いえいえ、そんな事は・・・」
手際よくコーヒー豆を挽きドリップしました
「ホーッこれ美味しいよ
マスター顔負けだね」
「わたし本場でコーヒーを入れる修業をしていました
でもマスターが店を休むって連絡が入りました」
「これはいけないって
急いで帰って来たんです」
もちろん店が開いていることはマスターは知りません
店も開いているような閉まっているような・・・
このお店が好きな人と
コーヒーが飲みたい人だけに開いているらしいです
半月後マスターが復帰をして
店を再び開けました
なぜかお客さんも周りのお店の人もみんな
お店が続いていた事なんて忘れてしまっています
マスターがちょっと気づきました
コーヒー豆が増えてるものと減っているものがある?
それに抜いて行ったはずなのに
レジの中にお金がいっぱい入っていました
「歳をとったからボケて来たかな?」
なんて独り言を言っています
「何言ってんのマスターまだ若いよ」
「さぁ開店祝いだよ」
かけつけた常連客が3人
「今月の特選コーヒー3つ」と注文しました
「はい、かしこまりました」
といってマスターは4つのカップにコーヒを注ぎました
なんて行きつけの喫茶店で思いつきました
3人の横に4人目のお化けさんが居たんですね
行きつけの近所の喫茶店もこんな感じです
コーヒー美味しいですよ
物語もあと5個・・・
5個もかけるかな?
夢子
2016/10/25 10:15:27
おばけ君はたぶんコーヒー代を払っていないから、
その半月の代理マスターでコーヒー代を返したかもね^^
セカンド
2016/10/20 01:30:00
いしころ様
コーヒーが大好きなお化け
近所付き合いも大切と実行している?
そうですね喫茶店のお客さんと
笑点大喜利なんかしたりして
みんながその存在を薄々知っている
でも知らない・・・
明日は何時頃の来店となるのでしょうか?
いしころ
2016/10/20 01:01:09
とてもいいです なんだかこんなお化け君のような存在に憧れます
きっとひとが好きなんだと思います 傍でにこにこしていられたらそれで十分なのかも^^
そして いざという時には ちょっとした魔法が使えるような そんなお化け君に座布団10枚!
マスターには ちゃんとわかってるんですね お化け君の存在がね 優しい優しいお話が続きますね
とうの物語楽しみにしています(^^)/
セカンド
2016/10/13 01:52:26
奈柚様
実際喫茶店で思いつきました
ハロウィンのお化けってこんな感じかも
居るんだか居ないんだか
現実なのか非現実なのか
わけのわからないお化け君の存在
もしかしたら気付かない所で僕たちもあっているのかも
村山早紀さんの「コンビニたそがれ堂シリーズ」
これ大好きなんですけど
ちょっと似た感じかな?
そう、この街の神様なのかもね^^
奈柚
2016/10/13 01:43:05
怪談っぽいのに なんだかほんわかします
誰にも認識されてないような いるような?
もしかしたら神様かもしれませんね(^^)b