【お話】森のハロウィン会場
ほらみんな、急いで急いで!
もうじきお客様がやってくるよ。
ほたるさんたち、照明をお願いね!
えっ、月光でかもしたはちみつ酒が足りないって!?
森の魔女さんが持ってるかも。小人さん、バラのケーキとりんごジャム持って、ゆずってくださいって頼んできて。ていねいにお願いするんだよ。
ああほら、慌てると転ぶよ……って、言ってるそばから!
妖精の歌姫さんの舞台はできてるね。OK。ハープの準備もばっちり。
今日の演奏はどなたがされるの? えっ? 竜の若君が立候補? 大丈夫なの、あのかた?
念のため、風の妖精さんにも頼んでおきましょう。
町の魔女さんから、金木犀のお茶をもらっているから、これも出してしまおう。
金のりんごは、樽にいっぱい。みなさん、これが好きだから。
食事は大目に。ありったけ作って持ってきて!
年に一度の、顔合わせなんだから。
しっかりおもてなし、しないとね。
そうそう、サークルはきれいに輪を描いているよ。
まあるく、まあるく、輪を描いて。
わたしたちの世界が、美しくあるように。
命がめぐる。世界の中で、わたしたちは手をつなぐ。
それを表すのが、サークル。循環の円。
空にも大地にも、歌声が輪を描いているよ。歌姫さんの歌声で、きっときらきらするね。
まあるいものを、飾ろう、あちこちに。
さあ、
もうじき、お客様がやってくるよ!
***
森のハロウィン会場。
人も妖精も、魔女も竜も。みんなで仲良く過ごす夜。
ハロウィン(サウィン、サムヘイン)はもともと、ケルトの年末と新年です。
日本のお彼岸に似た感じで、帰ってくるご先祖さまのおもてなし、だったんですが。
今では忘年会状態で、いろんなものが大集合する日。という認識になっているみたいですね。